パワースポットに連れて行くもの|江の島の奥津宮

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スピリチュアルな能力として良いのか悪いのか、死して彷徨っている魂を引き受けてしまうことが度々ある。

例えば1979年に火災事故が起きたT高速Nトンネル。数年後、旅行に行った際の出来事だ。
トンネルを通り抜ける途中、車の両脇から何本もの手が伸びてきて私にしがみつくのを感じた。トンネルを抜けた後もそれは離れず、私の両腕はずーんと鉛のように重くなった。

例えば友人と一緒に鎌倉の海蔵寺を訪ねたとき。
有名な井戸を見に仏殿裏に行ったところ、観光ツアーの団体客に道を塞がれて、やぐら(鎌倉時代後期に発祥した横穴式墳墓)の前で立ち往生してしまった。
家に戻ったその晩、寝苦しくて目が覚めると足元に、鎧兜を着た武士が立っている。無表情でこちらを見つめているが、特に悪さをするわけではない。

そして今月14日の夜。月初めに亡くなった友人が、「僕を連れて帰って欲しい」と訪ねてきた。
トランス状態になった私は車の鍵を取り、彼の望む場所へと走らせようとしたけれど、目的地はわからない。とんでもない徒労感に襲われてドライブを中止した。

こんな事態に陥ったときにする行動はいつも同じ。私のパワースポット、江ノ島の奥津宮へ行って手を合わせ、魂たちを天に昇らせるのだ。

昨日も朝早く家を出て、土産物屋が開き始めたばかりの江ノ島の階段を、奥へ奥へと上がった。連日の猛暑を覚悟していたら、汗もかかずに歩ける快適な天候。
途中で足をとめたヨットハーバーを見下ろす展望台からは、シラス漁の船が見える。なんて長閑な朝だろう。時間が止まっているようだ。

シラス漁の船
奥津宮鳥居
奥津宮拝殿

奥津宮に着くと人影はなく、境内をほうきで掃いていた宮司さんも、裏手に消えてしまった。
いつものように神殿に向かい礼をして、手を合わせる。
目を閉じると、大木の頂上に上っていくような感覚がやってきて、頭上には群青色の空。
2匹の龍がぐるぐると回りながら、友人の魂を連れて昇っていく。

やがて紅い牡丹の花が咲き乱れる場所で、嬉しそうにはしゃぐ友人の顔が見えた。
「とっても綺麗よ。貴方もつまらない世界にいないで、こっちにいらっしゃいよ」
「ごめん、私はまだ行けないの。でもいつか必ずね」
見守る天女たちに友人を託し、ほっとして奥津宮を後にする。

ずっと食欲がなかったけれど、役目を果たして爽快にお腹がすいた。
森戸海岸まで車を走らせ、オープンテラスの席で潮風と共に朝食をとった。
お盆も終り、空の色を映した海には、秋がそうっと近づいている。

コメント

  1. 詩人たそがれ より:

    いろいろな方々(私もその一人)が、管理様の助けを求めている様ですね。

    彼らを助けるのも大事ですが、御自身を大切にしてくださいね。(老ジゴロの独り言・・・)

  2. yuris22 より:

    詩人たそがれ様

    ご心配ありがとうございます。
    困っている人たちを助けるのは私の宿命だと思っています。
    彼らが幸せになってくれれば、それが私の幸せでもあるんです。

  3. tsune2 より:

    「助ける」
    いい言葉ですね。

  4. yuris22 より:

    tsune2様

    まだまだ私は力不足、役不足です。
    でも見て見ないふりはできません。
    江の島に行ってから、また安眠できるようになりました。

  5. 波に乗るさかな より:

    こんにちは。

    先日の夜の話しです。
    仕事からの帰宅中、ある高速の料金所で友人の車と遭遇しました。友人は清算する為停止中、こちらはETCで彼を横目に見ながらププ~っとクラクション。友人はこちらを見ながらもちょっと怪訝そうな顔。

    後日、その友人と会った時。友人曰く、「この前、高速で会ったよね?隣に乗ってたの誰?」

    あの、、その日は自分ひとりで運転してたハズなんですけど・・。

    うーん・・・。助手席に乗ってたお方、目的地はどこだか知りませんが、ちゃんと降りてくれたのかな・・・。

  6. yuris22 より:

    波に乗るさかな様

    俗に言う「お化けトンネル」を出た信号で停止していたら、
    後ろの車にノーブレーキで追突されたことがあります。

    ドライバーは正気じゃなかったと言ってましたが、何かに
    とりつかれた表情でした。

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