高校生の頃、父に買ってもらったギターを掻き鳴らしながら、シンガーソングライターになることを夢見ていた。結果として作詞家になり、夢とはそう外れない職業で生計を立ててきたのだが、いったい何パーセントの人たちが職業に関して初志貫徹しているだろう?
なりたい職業ランキング(第1回子ども生活実態基本調査)で男子の場合を見ると、中学生の第1位~3位が「野球選手」「サッカー選手」「マンガ家・イラストレーター」だったのが、高校生になると「学校の先生」「公務員」「医師」と、いきなり安定志向に走る。
(女子は中学生の第1位~3位が「保育士・幼稚園の先生」「看護師」「マンガ家・イラストレーター」、高校生になると「学校の先生」「「保育士・幼稚園の先生」「医師」)
喰いっぱぐれのない職業としては堅実な選択だろうが、お墓に入るまでのルートが見えているような人生だと思う。
先日、石釜焼きピザの「自遊人処」へランチしに行ったときのこと。
石釜の裏手からカツーン、カツーンと薪を割る音がする。オーナーのKさんに聞けば長野にある全寮制の学校から、高校生2人が週末を利用して職業体験にやって来たのだと言う。
子供たちの自主性を重んじるその学校では、大学受験に向けての詰め込み教育をするわけでなく、薪割りにしろ畑作りにしろ、何でもやりたいことにチャレンジさせる教育法を取っている。将来の道は、敷かれたレール通りではなく自ら模索させる。
「もう少し、後ろから割った方がいいんじゃない?」
後ろから先輩のアドバイスを受けながら、満身の力で斧を振り下ろす後輩。額は汗びっしょりだけど、見るからに爽やかだ。
彼らはスモーク(燻製)クッキングにも興味があって、燻製が評判のレストランバーへも行って来た。「海音」という店のオーナーSさんは、昼間は美容院の経営、夜はバーでシェイカーとフライパンを振り、不動産鑑定士の資格まで持っているという働き者。
我が家でのBBQパーティーに招待したのがきっかけで、「自遊人処」のオーナーとは良き先輩・後輩の間柄になっている。
2人とも逗子という故郷をこよなく愛し、仲間とネットワークを組みながら着実に商売の幅を広げている。
しばしお喋りに付き合ってくれて、また薪割りに戻った高校生たち。
その様子を見ていたお客さんの子供たちが、今度は石釜に入れるピザ作りを覗き込んでいる。どうやって生地を丸く伸ばすの? 何のソースを塗ってるの?と矢継ぎ早に質問が飛ぶ。
子供たちの興味津々な目には、ピザ職人が将来なりたい職業に映っているかもしれない。
それが野球選手であってもイラストレーターであっても、100%不可能なんてことはない。
方程式を解いて英単語を丸暗記し、休日返上で学習塾に通う毎日からは、想定できない夢の職業であったとしても・・。
コメント
サラリーマン生活を長くやってから独立して気づいたことは、「仕事っていくつやってもいいんだ」「いくつから始めても遅いっていう仕事はあまりないんだ」ということです。
今選んでいる仕事の顧客や社会に与える影響と価値は、実感できていますが、自分がやりたい仕事が他にはないかというと、ある。それを同時に目指せないかというと、少しずつなら始められるかも。5月から新しい仕事に向けて一歩を踏み出すことにしました。冒険だけど、楽しみー!!
高校生たち、いい発見があるといいですね。人生は長い・・・たぶん
たけぞう様
同感です。
私も複数の仕事を掛け持ってきましたし、興味を持った瞬間がスタート時点でした。
少子化と高齢化が進む今は、ポジティブに考えれば歳は関係なく、何をやっても
成功する可能性が高くなってきたのでは?と思います。
生涯通して勉強であり、新しいことにチャレンジしていきたいな。