がん患者のCMに想う

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『がんから逃げないことです。逃げたら何でも怖くなる。』
鳥越俊太郎氏を映したCMが流れるたびに、息を止めて画面に見入ってしまう。
本人とは面識がないのに、その姿を目に焼き付けておかなくてはと躍起になる。

鳥越氏がステージ4のがん患者として、マスメディアに登場することには非難も多い。
手術出来たからいいじゃないか、有名人だから最高の治療を受けられるんだろう等、やっかみの声が増えるほど、タオルを投げられない苦闘のリングに自分を追い込んでいるように感じる。

 

末期がん患者の、人には見せない本心を知りたい。
本当は諦めているのか、それとも死の直前まで奇跡を信じているのか。
いつ泣いているのか、どうして笑えるのか、誰をいちばん愛しているのか。

 

昨年の6月に旅立ってしまった最愛の人に、癌と戦っている最中には決して聞けなかった質問。今もし天国と通信が出来るのなら、種明かしをして欲しいことが沢山あるのだ。

「ごめんね、今日は気分が悪くて戻してしまった」
「ごめんね、モルヒネが効かなくてベッドから起きられない」
「ごめんね、メール打つのが遅れてばかりで」
病室から届く携帯メールには必ず「ごめんね」があったのはどうして?
今日はごめんねなのか、未来を見越してのごめんねなのか、考えれば今でも切ない。

 

鳥越氏の「生きる」ストーリーの中で、ふと目に留まった文章。
『ぼくはむしろ「あれをしておけばよかったのに」と後悔しないようにしたいのです。「あのおいしいラーメン食っておけばよかったのに」とか。何にしてもそうです。』

そうか、あれをしておけばよかったのに・・が、「ごめんね」の裏にあったのかな。
季節は幾つも移ろい、新しい出会いに支えられ、いつの間にか涙は遠くなった。

 

今さら彼の心残りを叶えてあげられないけれど、悲しみを経た後に出来ることは何だろう。

私は医者でもなく預言者でもない。ちっぽけでも誰かが必要としてくれるなら・・。
人には言えない本心を聞いてあげる耳になりたい、慈しんであげる眼になりたいと、新しい願いの芽が育ち始めている。

コメント

  1. tsune2 より:

    はい。

  2. 亀吉 より:

    貴女が笑顔を取り戻し元気に活躍する姿を見れば、天国の彼も喜んでくれるさ。

  3. yuris22 より:

    tsune2様

    >はい。

    このあとに見えない言葉があったのでしょうか。
    もし良かったら続きを教えてくださいね。

  4. yuris22 より:

    亀吉様

    ありがとう!
    最近はアホじゃないかと思われるくらい、いつも笑顔です。
    苦難を越えるたびに、心のやすらぎは増していくものなのですね。

  5. 波に乗るさかな より:

    男は最愛の女性を命を懸けて守りたいと思っています。

    病魔に冒され、それも儘ならず・・

    「ごめんね、君の事を守れなくて」

    そんな想いが心の底にあったのかもしれません。

  6. yuris22 より:

    波に乗るさかな様

    嬉しくて悲しい「ごめんね」ですね。
    でも私が死んでいく側であっても、同じことを言ったでしょう。

    以前、熟年夫婦をテーマにした昼ドラの主題歌を書いたことがあります。そのワンフレーズ。

    『人はいつかは星になるけど
     許されるならあなたよりも
     たった1秒長く生きたい
     寂しい思いをさせないように』

    心底愛している相手が、落ち込んで暮らしてるのは見たくないですよね。

    今の私はとても元気です!

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