昨夜は深夜になっても寝付けないまま、遠雷の音を聞いていた。
台風が近づいてくる気配は、空気のぬるさと共になまめかしい。
気圧の変化というよりも、得体の知れない生き物が忍び寄ってくる感覚だ。
1979年まではアメリカでハリケーンに女性のみの名前をつけていたのも、何となく理解できる。
今回の台風13号は、名前がシンラコウ(Sinlaku)、ミクロネシアの言葉で「伝説上の神」を意味するという。
アジア圏でいつから名前がついたのかと調べれば、平成12年から北西太平洋または南シナ海の領域で発生する台風には、台風委員会の加盟国が提案した固有名詞をつけることになったそうだ。
既に用意されている名前は140個。
1番のダムレイ(カンボジアで「象」の意味)に始まって、2番はハイクイ(中国で「イソギンチャク」)、3番はキロギー(北朝鮮で「がん(雁)」)、4番はカイタク(香港で「啓徳(旧空港名)」)、5番はテンビン(日本で「てんびん座」)・・140番はサオラー(ベトナムで「ベトナムレイヨウ(ウシ科の野生動物)」となっている。
(気象庁「台風の番号と名前」より引用)
ただし台風は年間に140個も来ないので、だいたい5年で名前が一巡するらしい。
今回のシンラコウは65番目。次にやってくる台風14号は66番目のハグピート(フィリピンで「むち打つこと」)になる。
この不安な時勢に、悪いことに名前までもがタイムリーだ。
写真は台風一過の今日の空。
本来であればまぶしい太陽が戻ってくるはずなのに、黒い龍が大きく口を開いたような雲が浮かんでいる。
世界中の経済が黒雲の中にある現状からすると、どうやら空もすっきりとはいかないらしい。
青くて高くて透明な秋の空を早く仰ぎたいものだ。
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