大切な方にEメールを送るとき、いまだに難しいのは敬語の使い方だ。
「来て下さい」を敬語にして「ご光臨賜れば幸甚に存じます。」とするのはかなり堅苦しく男性的。女性が使うには「お運びいただければ幸いでございます。」の方がソフトである。
手紙の結語が男性なら「敬具」「拝白」。女性なら「かしこ」「ごめんくださいませ」であるように、音読みよりは訓読み、たおやかな言葉遣いを心がけたいと思っている。
迷ったとき、最終的に選ぶのは女子校時代に習ったお嬢様言葉だ。
マスール(私の通った学校はフランス系カトリックだったので、シスターではなくマスール)に幼いうちから叩き込まれたのは言葉遣い。
朝夕の挨拶「ごきげんよう」に始まって、「ありがとう」は「恐れ入ります」。「すみません」は「ごめんなさい」「申し訳ございません」を使うように指導される。
当時は何故こんな言葉を使うの?と意味がわからず、友人同士のお喋りではわざと男言葉を使って反抗していたけれど、厳しいマスールのおかげで敬語はいつでも口から出てくるようになっていた。
美しいお嬢様言葉は、「ざあます」のおばさま言葉とは違う。
育ちと性格の良い言葉であり、決して人を見下すことない究極の謙譲語だ。とはいえ自分を卑下するのでなく、今自分がいるポジションから相手を高めるのがコツであり、常にプライドがありポジティブなのだ。
贈り物に添える言葉は「つまらないもの」ではなく「心ばかりのもの」。
相手の長所は大げさに褒めまくり、相手の無礼をけなす時でも不快感を与えない。「残念です」ではなく「はっきりとしたご意見を賜りました」と持ち上げる。
もちろんお嬢様言葉そのままをEメールには書けないのでアレンジするが、型に嵌ったビジネスレターの文例を真似るよりは、オーダーメイドの感がある。
文章とは目から入ってきた文字が、頭の中でサウンドとなって聞こえてくるもの。送り手が放った美しい言葉のサウンドが、受け手の一日を快適にするようなEメールを送りたいものである。
コメント
美しい言葉は難しいですね。
文章やメールでも、どのように書いたら相手に快く伝わるか、考えながらやらないと仕事もスムーズにいかないですよね。
お恥ずかしい話ですが、私がそのように考えて仕事をするようになったのはごく最近のような気がします。
元々、工場勤務が長かった私はやれと言われた事だけや、決まった事だけをしていれば良かったような感じだったのですが、事務所勤務になってからはそうはいかなくなったのです。
工場よりも人と接する機会が増え、人間関係にも苦労したと思います。それで、私が見出したのが、「心をこめて」人と接することです。どんな美しい言葉でも「心」がなければ、本当に相手に伝わらない事が多いような気がしました。「心をこめて」
これを心がけたら、今までツンケンしてた相手の態度も柔らかく変わりました。不思議ですね。人間て身のこなしがこんなに伝わるとは。
marie様
いいコメントをありがとうございます。
「心をこめて」は確かにコミュニケーションの基本ですね。
常に真摯であることも大切だと思っています。
それが相手の笑顔につながった時ほど嬉しいことはありません。