五感のアンチエイジング

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優れた文章を書くにあたり、五感は欠かせない小道具だ。料理の良し悪しを決める調味料と言おうか、ストーリーに3Dの立体感が生まれる。読み手も体験した五感であればなおさら、共感が好感に進化する。しかし五感は常に研ぎ澄ましていないと、記憶の中だけは陳腐化していく。

 

海や山、自然がすぐ近くにある環境に暮らしていると、「見る・聴く・触る・味わう・嗅ぐ」の対象物が豊富にあるから嬉しい。耳触りな騒音も、鼻に手を当てたい排気ガスの臭いもない。
「逗子で一人暮らしなんかして、よく寂しくないですね。東京の方がずっと楽しいのに」と言われるが、デパートの化粧品売り場で嗅覚を養うよりも、ビーチを歩いて潮騒の音と香りに季節の変わり目を感じる方が、物書きの生活に似合っている。

 

この動画は夕暮れの材木座海岸で撮ったもの。波の音に加えて、ボンゴの音が混じっている。時々この時間になると、海に向かってパーカッションの練習しているミュージシャンがいるのだが、邪魔しないようにそうっと近づいて、感性のチャンネルを開放する。

 

寄せては返す波の音、リズミカルな太鼓の音、磯の香り、沈む太陽と海の色、耳を切るような1月の冷たい潮風、湿った砂の感触、口の中に広がるしょっぱさ・・。ここは五感の宝庫だ。身体は歳を取っても、感性は老人にならないようにアンチエイジング。音まで拾った動画にはかなわないけれど、感動をどう文章にするか、考えるのが楽しみな宿題である。

コメント

  1. muha より:

    こんばんは。優れた文章と聞いてアフマド(ゥ)コゥルマール(クルマ)さん(元西アフリカの少年兵)の文体を連想致しました。技巧ではなく、ありふれた日常から溢れ出す口語に共感を得られますね。わたくしの場合は「塩で縁取られた琥珀色のクリスタルと杏子紫煙のプライヤーだけで、潮騒(彩)をバーチャル出来てしまいますね。先生のコンパスに導かれてさえいられれば…(デジトラ購ったかな)

  2. yuris22 より:

    muha様

    ありふれた日常、いつも身近にあるものほど、人は文章に説得力がありますね。もう一人の自分がちょっと離れて見つめて、五感を言葉に置き換えると瑞々しい言葉が湧いてきます。
    ウォーキングしながら景色を視覚・嗅覚・聴覚等に送り込み、言葉を編み出していく作業が私は大好きです。

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