ニューヨークの百貨店・メーシーズで「ブラック・フライデー」こと、年末商戦がスタートした。感謝祭明けからクリスマスへ、通常なら年間売上高の約4割を稼ぐシーズンであるが、不況にあえぐ消費者の財布のひもは固く、今年の売上は最悪かの予想が立っている。
そして日本では大手スーパーの値下げキャンペーン。西友は「KY(カクヤス)でいこう!」のキャッチコピーと共に、食品、日用品を中心に1700品目の値下げ。ダイエーは4000品目を10~40%引き、イオンも2000品目を10~30%値下げに踏み切っている。
安さで顧客を呼び込む小売業界を見て、不安なのは偽装された「安かろう悪かろう」の商品が混じることだ。儲けようではなく、命をつなぐための偽装が行われないだろうか。
ジリジリと値下げ競争が進みきった中、生産業者や製造業者は赤字になって倒産の危機に瀕している。質の良い商品を提供するにはコストが嵩むのに、人件費を削り材料費を落とし、古い設備を騙し騙し使わなくてはならない。
リストラされた、もしくは給料を減らされた雇用者の家族は、日々の糧に少しでも安い商品を買い求める。客が集まらない小売店は倒産し、職にあぶれた人がまた増える。
金欠だけではく、消費が進まない理由のもう一つは、消費者の購買意欲が違うベクトルを向いていること。
エコが主流になり、使い捨て商品の時代は終わりつつある。愛着のある品物を直し直し使おうとする。安全のために、家で作れるものは手間隙かけて自作する。
それはお爺ちゃんお婆ちゃんが若かりし頃、高度成長期以前の慎ましい消費者の姿だ。
自分のことを言えば出来合いの惣菜を買うことはなくなり、流行のファッションにも興味がなくなった。泥つきの野菜や地物の魚を食べる分だけ調理し、4~5年前に買っオーソドックスな服が着られるように身体のサイズをキープする。
お金をパーッと使いたい衝動は消え、代わりに物への愛着心が湧いた。
くしくも先ほどのニュースでは、定額給付金を打ち出した麻生総理の支持率が発表された。危険水域とされる3割を切って、27.5%の支持率。景気対策を評価しないとする意見は7割を占める。
寒々しい12月。国民の心を誰が読んでくれるのだろうか。
コメント
企業のリストラは急速で、塾生の友達は高校中退となりました。ブラジルから家族で来て仕事にも励んでおられたようですが残念です。その女子高生は「20歳になって、日本へ来る」と言って別れを告げたそうです。
麻生さんの支持率はそのままの今の日本の姿なんだと思います。現況をどう乗り越えようとしているのか、党首討論も議論する課題が的外れのように思うのは私だけでしょうか。
議員も長くやっていれば庶民の暮らしは実感できないだろうし、2世であれば尚の事。
このトンネルの出口は?
風小僧様
不況の影響で、外国人労働者の離職が急増しているそうですね。彼らの子供たちの未来にまで暗い影がさすとは、100年に一度の不況どころではありません。
歯を食いしばって立っている庶民の上で、悠々とあぐらをかく議員たちは、いつか屋台骨が崩れて地面に叩き落される日がくるはずです。
人一人の衣食住を満たすにはそれなりのコストが必要。
それを無視して来たのが、この20年だと感じる。
政治と企業はここで「適正な儲け」と「社会・従業員への還元」の分配を真面目に考えるべきだ。
アメリカのバブルを読めないやつには無理か。
素浪人様
麻生総理が渋谷のLOFTを訪問したニュースが流れました。このグループでは臨時社員が希望すれば全員正社員にするという太っ腹な話です。
雇用者を守れと打ち出した方針のもと、これみよがしのパフォーマンスなのでしょうが、人件費が40億円アップになる企業が本当に存続していけるのか疑問です。
麻生総理はバランスシートについての質問をしていましたが、それ以前に損益計算書さえ読めないお坊ちゃまなのでは?と思わざるを得ないお殿様ぶりでした。
はじめまして。
記事、興味深く読ませていただきました。
私もYURISさんがおっしゃっている、購買者の購買意欲低下、小売業界の「安かろう悪かろう」の商品に対する集中という現象に注目しています。
ヨーロッパの国々のように、ユーロ導入のために一気に物価が二倍になったというのならまだしも、円の強い日本ではどちらかと言うと収入の二極化が進んでいるはずなのですが、気持ち的には一気に経済の冷え込みが進んでいるのを肌で感じます。
こうなると経済の循環がますます悪くなり、こだわった商品を作ってらっしゃる生産者、製造者が生き延びる道が閉ざされていくことに不安を隠せません。
煩雑になった生活をもう一度見直し、シンプルな中にもこだわる所にはこだわりをもって生活していきたいと思っています。
ベリタ様
いらっしゃいませ(^_^)
麻生総理は雇用を促進しろと企業にはっぱをかけてますが、景気対策がままならないのに、どこから給料を持って来いと言うのでしょうか。国民の人気を得ようとしたのが、かえって総スカンです。
手をこまねいている間に中小企業や町工場はバタバタと倒産していくでしょう。親から子に受け継がれた技術力は失われ、伝統は映画の中だけの世界になるでしょう。
どうかこれ以上、日本を壊さないで欲しいと総理にお願いしたいです。