桜のトンネルに車をとめて

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この季節になるといつも後悔すること。愛車がコンバーチブルなら良かったのに、もしくはその類の車を持ってるボーイフレンドがいれば良かったのに・・である。

今年も逗子の久木ハイランドには桜のトンネルができた。屋根のない車を路肩に停めて、椅子をフルリクライニング。夕暮れから夜になるまで、ただひたすら桜を仰ぎ見ていられたらどんなに幸せだろう。残念ながらサンルーフもない車から、映画のような夢の情景を思い描く。

ふと、これまで溜めてきた詞のレパートリーに桜ソングがないことに気がつき、即席でワンフレーズ作ってみた。作者本人はハッピーなのに失恋ソングしか思い浮かばないのは、切なさが何より似合う花のせいかもしれない。

今週は晴れの日が続いて、お花見日和はまだまだ続くという。綿菓子のような木の下で、恋人たちの何千何万ものストーリーはどう進行していくだろうか。

   「夜桜までの時間」

花びらの淡雪が 君の髪に舞った
指ではらうふりをして 僕は短いキスをした
過ぎた日は帰らない それがキスの答え
車を停めた曇り空 ふたり桜の屋根の下

 不器用すぎるプライドを 捨てる勇気がない僕は
 無くした後に気づくのは いつも決まって大切なもの

天気予報を告げている ラジオのボリュームを上げた
せめて今夜は晴れになれ 恋と桜が散らぬように

          Copyright by Yuriko Oda

久木ハイランド1
久木ハイランド2
久木ハイランド3

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