腰痛の治療をしに、地元の接骨院に通い始めた。先生は行きつけの飲み屋で顔を合わす常連、受付はその奥さん。「今度お願いします」と通院予告をしてから2ヶ月後、「やっと来ましたね。どうしたんだろうって言ってたんですよ」と迎え入れてくれた。
待合室のソファーは何処かで見た顔ばかり。名前を呼ばれ、治療ベッドに横になってカーテンを仕切っても、声が飛び交い雑談は続く。新逗子駅前の居酒屋にカラオケが入った話、最近ご無沙汰しているオカマバーの噂話、逗子でAbercrombieのTシャツが買える店の話、安売りで人気があった衣料品店主が介護で忙しくて閉店した話。ベッドからベッドへ、診察室からベッドへ、診察室から待合室へ、顔は見えずとも誰それの声だなと想像しながら、患者たちと先生の会話が続く。
夕方5時を回り、ランドセルを背負った男の子が帰ってきた。道草してきたことをお母さんに叱られながら、転んで擦りむいた膝小僧を見せる。叱られ途中で我慢できなくなって「おしっこ」と走り出す姿に、「トイレも忘れるほど遊びに夢中だったんだ」と皆で大笑い。古い映画に出てくるローカルな診療所の風景だ。
「今日はどこへ飲みに行くんですか?」
「最初は三遊亭かな」
「じゃあ沢山飲めるように、肝臓のツボを押しておきましょう」
先生と言えどさすが飲み仲間。ツボを心得ているとは、まさしくこれだ(^_^)v
歩いて2~3分の距離にある立飲み屋には、赤ちょうちんに灯がともる時刻。ジモティたちがカウンターに並び、飽きもせず似たような話題で盛り上がっては、マスターがお決まりの茶々を入れているだろう。
まるで『ALWAYS 三丁目の夕日』にタイムスリップした感覚。映画のセットみたいな町がだんだん私の原風景になる。
コメント
はじめまして、nepcomと申します。
以前から、ブログを楽しく拝見していました。
今回の『映画のセットみたいな町・・』に
最近まで住んでおりましたので、コメントを寄せさせていただきました。
>飽きもせず似たような話題で盛り上がっては、マスターがお決まりの茶々を入れているだろう。
まるで『ALWAYS 三丁目の夕日』にタイムスリップした感覚・・
長年、この町に住んでおりましたので、
まさしく、自分にとっても原風景を感じる
様々なシーンを想い出します。
そうした、数多いシーンを振り返ると哀愁を感じる今日この頃です。
ジモティの話題をまた書かれることを
楽しみにしております。
nepcom様
いらっしゃいませ(^_^)
人口の少なさのおかげか、暮らせば暮らすほど友人が増えていきます。信号待ちの横断歩道で、スーパーの陳列棚の前で、駅前のロータリーで、誰かと「おっ!」と顔を見合わせるのは嬉しい出来事です。
昼下がりから短パンでビールを飲む姿が、こんなに似合う町は他にないと思っています。時には里帰りして仲間に戻ってくださいね。