お受験よりも将棋指し

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昨日は女流棋士の中井広恵さんから、将棋の世界で生きるプロフェッショナル魂について伺った。中井さんは5歳の頃からお父さんに将棋を教えられ、10歳の春には小学校将棋名人戦に出場。予選では対局相手を自由に選べると聞き、いちばん弱そうな男の子の前に座ったら、なんと彼は後の羽生名人だったというエピソードを持っている。

11歳の少女が北海道・稚内から1人上京して、故・佐瀬勇次名誉九段の家に弟子入り&プロデビュー。17歳には第12期女流名人位戦で初タイトルを獲得し、今から10年前には第7期竜王戦で将棋史上初、男性棋士から公式戦初勝利をあげたという経歴の持ち主である。

ちなみに棋士の歴史とは江戸時代にお殿様の前で将棋を見せたことから始まり、35年ぐらい前までは完全なる男社会。今でも男性棋士が女に負けたとなると、悔しさのあまり口を聞かない、翌日は髪を剃って坊主になるなど、男のプライドが相当傷つくそうだ。

プロ棋士になるには、天才的な頭脳を持っているのが条件だと思っていたら、それだけでは足りない。将棋は格闘技だと言い切るほど、強靭な体力・精神力を要するのである。1日制の対局だと、1人の持ち時間は6時間。朝10時から始まって夜中の1~2時に終わるのはざらで、当日以外にも準備のための前日と心身を休める翌日の計3日間が必要になるという。
羽生名人は1年で89局も戦った記録を持っているが、その他にCM撮影や取材、講演活動までこなしているのだから、まさに超人と呼べるだろう。中井さんも多いときには1年で53局の記録を持っている。

心身がボロボロになる過酷な勝負の世界ではあるが、勝てば得るものは大きい。最も大勝負である竜王戦(読売新聞社主催)の賞金は3,200万円。プロ将棋界の頂点となる竜王のタイトルを取れば、対局料も含めて5,000万円が手に入る。しかも次の年の対局料まで保証されるのだから生活は大安泰だ。羽生名人が1996年、25歳にして全7タイトルを獲得した際にはどれだけの収入を得たかと、思わずそろばんを弾きたくなる。

プロの資格さえ取れば、最低でも大学初任給程度の収入は保証されるという将棋の世界。現在は男性が150名、女性が50数名のプロ棋士として登録されているそうだが、思ったより数が少ないのは、目指すべき将来有望な職業ってことだろうか。
ママたちは子供のお受験に目の色を変えるよりも、鉄は熱いうちに打て。お爺ちゃんから将棋を仕込んで貰った方が、親として鼻高々な未来が待っているかもしれない。

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