物事を決断するとき、誰か第三者のアドバイスが欲しいときがある。頭の中に縦横の平面図があるなら、そこに柱を立てれば物事を立体的に眺めることが出来るからだ。
昨日は岩満羅門先生を訪ねて御殿場へ行った。駐車場に車を置いて聖尊寺へ歩いていくスロープは、木々のフィトンチッドで満ちている。緑の癒しゲートをくぐっているようで、抱えていた問題が浄化されていく安心感。なんだか田舎の実家に戻ったような感覚だ。
普段着で出迎えてくれた羅門先生と、顔なじみになったスタッフの表情に、来て良かったと心の荷物を降ろす。
雑談を始めたところで、真っ先に気になることが一つ。外からドーン、ドーンと不思議な地響きが聞こえてくるのだ。まさか富士山の地すべりでは?と先生に尋ねると、「大砲の音ですよ」と思いもよらない返答。陸上自衛隊の演習場から聞こえてくる砲撃の音だった。御殿場でイベントがあるときや、富士山に偉い方たちが訪れる時を除いては、朝から夜の10時まで毎日のように続くそうだ。
在庫している弾薬の処理、つまりは割り当てられた予算を使い切るための演習。ひどい時はガラスが振動し、怯えた愛犬たちがノイローゼ状態になってワナワナと震えだすので、獣医に連れて行かなくちゃならないという。人間への影響はといえば、なんと演習場の近隣住民には非公式ながら多額の保証金が配られ、働かずにゴルフ三昧の人たちもいるらしい。
物騒なBGMには当惑したものの、悩み事はてきぱきと解決。実は私にお金を貸せと泣きついてくる輩をどうしたらいいかの相談に行ったのだが、偶然にも羅門先生と話している最中にその人物から電話があり、再現ドラマのように状況が絵になっていく。「相手にせず放っておきなさい」の一言に、心は晴れ晴れ。無用の情けを捨てる決断がついた。
喋りたい放題喋り、帰りには美味しいお土産まで頂いてしまって恐縮至極。来週の土曜日には逗子で大いに飲んで騒ぎましょうと、陽気な仲間たちを紹介する約束をした。
定番となった締めくくりは、日帰り温泉「富士八景の湯」へ。ラッキーなことに女湯は貸切状態だったので、急いで写真をパチリ。ずっと雲の中に隠れていた富士山が、光のシャワーを浴びてだんだんと輪郭を現す。
一時間ほどで温泉を出た時にはすっかり雲が消え、くっきりとした夕暮れ富士が美しい。
今日は有意義な一日だった。心もさっぱり身体もさっぱり、「さあ帰ろうね」と愛車に声をかけ、飲み仲間の待つ逗子へと走り出した。
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