神木の天辺から見る景色

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GWが近づき、鶴岡八幡宮のぼたん庭園が見ごろになった。しかし今年の参拝客はお目当てが違う。3月10日に倒れた大イチョウを見に押しかける人々で、鎌倉は大混雑である。

ご神木が倒れたことに不安を抱く人は多い。関東大震災にも耐えたのに、たった7~8メートルの風で根元から折れたのは、天変地異の前触れではないかとの噂も立つほどだ。

そして同じ3月10日。鎌倉に住む霊感の鋭い友人が、石段につまづき顔から転倒して救急車で運ばれたと聞き、私もダブルで不安になった。しかし奇跡的にも擦り傷で済み、「足元に気をつけて歩くことを学んだわ」と笑う顔を見て一安心。ご神木もきっと大丈夫と、観光客が少ない曜日と時間を見計らい、じっくり眺めに行くことにした。

幹周7メートルの大イチョウは短くカットされ、元あった場所の左横に移植。近寄ると「ひこばえ」と呼ばれる新芽が確認できる。もちろん根っこの方にも、まるで岩山に春が来たかのごとく、緑のひこばえがいっぱい生えている。樹齢1,000年の遺伝子が、親とそっくりな子孫を忠実に生み出すことに神秘を感じずにいられない。

鶴岡八幡宮の大銀杏1
鶴岡八幡宮の大銀杏2
移植された大銀杏
大銀杏の根っこ

余談であるが、私は旅に出ると、神社の大木に抱きついて瞑想することが好きだ。意識のセンサーは樹木の幹から空へと触覚を伸ばし、宇宙のエネルギーが取り込まれた気分になる。そして夜になって眠りにつくと、不思議な夢を見る。私の目は樹木の天辺(てっぺん)と一体化し、取り巻く360度の景色が見えるのだ。畑に実る作物、民家の色や形、遠くの山々といった風景は、翌日車で走ってみると、まるでデジャヴのように同じものが存在する。「長生きした分、沢山のことを知っているのだよ」と木霊の声。

さすがに鶴岡八幡宮の大イチョウに抱き付くことは出来ないが、離れて観察していても、不吉さは全く感じなかった。むしろ根元が空洞化して倒れ、朽ちていく幹から新芽が生えてきたことに意味があると思った。身を挺して私たち人類に「新生」という再出発を示唆しているのではないだろうか。

ひこばえのサイズは手のひらに乗るほど小さい。目を閉じて瞑想しても、空へはまだまだ遠い。若い芽が1,000年後に大木となるかどうかは、これから何世代にも渡り遺伝子を受け継いでいく人類との共同作業である。その時に樹木の天辺から見える未来の景色は、今よりもっと美しくあることを祈ろう。

コメント

  1. 的は逗子の素浪人 より:

    「ひこばえ」…なんともかわいい名前ですが、1000年生きて大木になるんですね。すごい生命力。

  2. yuris22 より:

    的は逗子の素浪人様

    屋久島へ行った時、樹齢1,000年を超える木(屋久杉)が沢山あることに驚きました。縄文杉といった固有名詞がついている木は樹齢2,000年以上。それに比べたら人間は、生きてせいぜい100年ですものね。まだまだ小さな歴史です。

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