メール世代での老人語

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日記を書くのは三日坊主でもブログ(公開日記)は長続きし、投稿件数は今回で940件目になった。このブログに辿りつく検索キーワードで、近ごろ最も多いのは「僭越(せんえつ)」だ。実際に検索してみると、Googleでは第3位(496,000件中)のヒット率。企業からの検索が多いのは、社交辞令で耳にする言葉であっても、今ひとつ意味が分からない若い人が多いのだろうか。

 

時代が変われば、言葉も歳を取る。メール世代の若い人たちが使わない仰々しい言葉は、老人語となって敬遠されていく。「拝啓、敬具」はかろうじて現役でも、例えば「不一(不乙)」「不二(不尽)」は滅多に使われなくなった。文章の末尾に置いて、取り急ぎ「充分に意を尽くし切れていないこと」を表す言葉だが、いきなり「不」から始まる熟語に、「もしかしてネガティブな挨拶なの?」と目をパチクリする人もいるだろう。

 

差出人名につける「拝」についても、苗字の後ろにあれば、拝さんという名前かと勘違いする人がいる。「拝」とは「参拝」で使われるように「頭を垂れて拝むこと」。合掌と同様、目上の人に対する謙譲の意味なのだが、古めかしさは否めない。

 

文語は深くて美しいし、時代に薄れて消えていくのは淋しい。しかし若い世代に宛てた手紙・メールに頻繁に使用するのは、逆に居丈高で配慮がないような気がする。読み手がいる限りは、伝えたいことを相手に理解してもらえなければ意味がない。それがビジネスメールなら「分からなきゃ調べればいいんだ」は成り立たない。

 

文章書きで生きるのは一苦労。知れば知るほど、書けば書くほど難しくなっていく日本語に頭を悩ませつつ、ポピュラーで旬な言葉を探す毎日。「じじむさい」「ばばくさい」と言われないよう、誰の心にもスッと入る文章を書くことが目標である。

コメント

  1. 的は逗子の素浪人 より:

    日々、修行させて頂いています。ありがとうございます。

  2. yuris22 より:

    的は逗子の素浪人様

    私だって永遠に修行の身でございます。沢山読んで沢山書いての繰り返しに尽きますね。

  3. muha より:

    こんにちは。しつもんで~す。“絆”の歌詞中の『心の土』を巧く説明出来ませんです。日本語初学者にも分かりやすく理解して戴くには どう謂えば よいのでしょうか?(^ー^;

  4. yuris22 より:

    muha様

    加山雄三さんに書いた『絆』ですね。
    ♪ やがては憎しみも 枯葉が朽ちるように
    心の土になり 消える日がくる ♪

    どんな罪深い人間であろうと、死せば肉体は土に戻って滋養となり、そこからは美しい緑が芽生えてきます。
    心の奥にある醜い感情も、時が立てば素に戻り、いつかは美しい感情が芽生えてくるという意味をこめて書きました。

    当時は今ほど意味が分かってなかった気がしますが、たぶん直感で書いたんでしょうね。

  5. muha より:

    織田せんせい 御返事 誠に 畏れ入りました。わたくしの故国では
    唯心論だと愛憎とは29代までに及ぶとされ唯物論では45億6千万年以上経過しなければ半減もしないものとされております。><米国のキノに『…農…心の土(長いタイトルで)』というものもありその系統かと農耕文化を踏まえないと理解困難な三文字でした。横縞(ナモノ)は 速やかに昇華される壱番です。

  6. 言葉は生き物ですよね。
    進化していることろが結構おもしろかったりします。

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