かわいいねっ!ごめんねぇ・・

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このところ激務が続き、与六に構ってあげられない。徹夜で原稿書きをする足元には、クークーといびきを立てるモフモフが丸まってるのに、一緒に遊んであげられない。

空気が動かないせいか、私のちょっとした動きに敏感になった与六は、キッチンに飲み物を取りに行くだけで瞬時に気付く。後ろから猛ダッシュで追いかけてくるのは、首輪に付けたリンリンの響きですぐ分かる。
かわいいねっ!ごめんねぇ・・。抱っこすれば嬉しそうに目を細めるけれど、すぐに飽きて腕から逃れる猫の習性は、文章を考えては宙を見つめる物書きにとって、ベターハーフに等しいペットに違いない。

カーテンの隙間から夜が明けて、少しだけ眠ろうかなと思う時、与六はりりしく窓の外を見張っている。今までのように私の腕枕で寝てくれないのは、飼い主の健康を気遣ってくれるのか、足元で眠りすぎてパッチリ目が冴えたのか、まるで相手を気遣いすぎた擦れ違い夫婦みたいだ。いずれにせよ甘ったれな私は一人じゃ寂しくて、「よっくーん」と手を伸ばしながら夢の中へ落ちていく。

しかし与六は聞こえないふりで、ふふーんと後の楽しみを待っている。日が落ちてからはチャンス到来。夕食をとりながら今日のニュースを見る私を待ち構え、箸にパシッと飛びつき、ソファーに爪を立て、狂喜乱舞のやさくれと化すのである。でもせいぜい数十分のこと。やがて向かいのソファーで両手を伸ばし、フアーッと大あくびをしてから、「傍にいてくれるんだよね」と見極めた安堵のまどろみに入る。

与六 2

かわいいねっ!ごめんねぇ・・。時間を気にせず与六の運動に付き合ってあげられるまでは、締め切りを幾つ越えるのか。友人たちとの温泉旅行も待っているし、ゴルフも待っているし、うわーっ!、その前に確定申告はどうするのだ!?

次の原稿に移る前、こんな駄文を書いている私の足元に与六がくるりと丸まりながら、今日も朝まで付き合ってくれるらしい。食って寝てばっかりで、これ以上肥るなよっ!!!

コメント

  1. みんみん より:

    はじめましてー。共感できる内容だったのでコメントしました。私は大切な家族を亡くしました。(ネコのトラ子です)そんなとき、ある一冊の書に出会い、救われました。「最後に伝えたかったこと」瀧本光静 の書です。ぜひ、読んでください。色んな忘れていたことを思い出しますよー。マイブームで、みんなに知らせています。ぜひ!どうぞ!

  2. yuris22 より:

    みんみんさま

    ありがとうございます。ネットで本のレビューを読んだだけで、最期の別れもできずに旅立ってしまった人たちのことを思い出しました。泣いちゃうかも知れないけど、ぜひ読んでみたいです。さっそくAmazonで注文しました。

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