取材商法とオンデマンド出版

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午前中、会社にやたらハイテンションな男性から電話があった。
「G画報社の○○と申します。現在神奈川の元気な会社を取材しておりまして、弊社の商業誌ザ・ヒ○○○ンに、ぜひとも御社の社長さんを紹介させて頂きたいんですが」という内容だ。
「村野武範がインタビューするという企画でして、今週の金・土のご予定はいかがですか。カメラマンと共にお伺いします」とアポイントを取ろうとする。

立て板に水の営業トーク。近ごろ見たことのない俳優の名前。すぐにピンときて、「御社のシステムって、こちらが費用をお支払いするんですよね?」と聞いてみた。「はい、取材経費をお願いしております」と、返事は想像通りである。

まだやっていたのか。これは取材商法というビジネスで、7~8年前に実家が経営していた喫茶店の店長がひっかかった経験がある。グラビア誌の取材を受けて自分の顔写真も出るということで、落ち目の芸能人相手に熱弁をふるう姿は、カモ以外の何物でもない。10万円近くボッたくられ、記念の一冊が手元に送られ、常連客に「うちが雑誌に載ったんですよ」と自慢して終わりである。

今回電話をかけてきたG画報社のサイトを見ると、「ザ・ヒ○○○ンは独自の取材を通じて経営者の熱き思いを全国に届ける経営情報誌です。全国の書店からのご注文、オンライン書店、直販、図書館にてお取り扱いしております。」と出ている。
amazonで検索すると、8月号は2点在庫ありで1,575円もするが、流通に乗っているところを見ると、昔よりはマトモになったようだ。とは言え今は1冊から印刷できるオンデマンド出版によってamazonでも書店でも注文できるわけだから、褒めるには値しない。

それにしてもゲストインタビュアーが、石橋正次、大石吾朗、大沢逸美、小倉一郎、加納竜、倉田保昭、島田陽子、布川敏和、三ツ木清隆など、あの人は今?の斜陽の方たち。まとめて取材に回って、どれくらいのギャランティを貰っているのかな。

芸能人も企業も根強く生き残るのは一握り。特に出版業界は20年ほど前から不況続きで、倒産・自己破産が相次いでいる。気前よく取材料を払ってくれる会社のほうが、今どき珍しいのかもしれない。

コメント

  1. 華莉 より:

    「ぜひとも~紹介させて頂きたい」と言いながら取材料を取るんですか!?女性誌の読者参加企画でさえノーギャラでもお土産が貰えるのに。情けない出版社ですね。

  2. 的は逗子の素浪人 より:

    色々ありますね。私の経験では「資格商法」「マンション投資」が有りました。こちらも慣れたので「あんた誰?」「電話番号は?」と言いてガッチャンと電話切りますよ。

  3. 亀吉 より:

    ぼくの店にも似たような電話がありました。聞いたことないような女優が来て、コーヒーを飲みながらの取材風景を撮影。その女優のギャラが発生するという仕組みだったよ。もちろんお断りしました。バカだね。

  4. 山本貴則 より:

    いろいろな商法があるのですね。

    出版業界の運営の厳しさが伝わってきます。

  5. marie より:

    こういう商法に引っ掛かるのは、それだけ人間は弱いんでしょうね。
    苦しい時の神頼みとはよく言ったものですが、引っ掛かける方もよく次から次へと心の隙間へ入り込みやすくするものだとある意味関心してしまいます。
    営業トークも上手くならないと物も保険も売れませんが、うそは行けませんよね。
    今後、どんな世の中になるのか不安ですね。

  6. yuris22 より:

    華莉様

    確かに情けないんですが、今はその手の出版社が8割みたいですよ。生き残るためのアイデアなんでしょう。

  7. yuris22 より:

    的は逗子の素浪人様

    ガッチャン!の前に一言。もてあそぶ言葉を探している今日この頃でございます。

    > 色々ありますね。私の経験では「資格商法」「マンション投資」が有りました。こちらも慣れたので「あんた誰?」「電話番号は?」と言いてガッチャンと電話切りますよ。

  8. yuris22 より:

    亀吉様

    その女優って・・・、えーっ、地下から地上へ出没しまくったあの方ですかっ!!!
    そうか、女優ったんだー!!!
    再デビューの機会を狙ってのカラクリかもしれませんねぇ。

    > ぼくの店にも似たような電話がありました。聞いたことないような女優が来て、コーヒーを飲みながらの取材風景を撮影。その女優のギャラが発生するという仕組みだったよ。もちろんお断りしました。バカだね。

  9. yuris22 より:

    山本貴則様

    インターネットVS出版ベース生き残りのために生み出した、正当な手段なのかもしれません。でもね、この企業のサイトを見に行くと怪しさだらけ。企業概要に載っている正社員の数は本当なのでしょうか。

    > いろいろな商法があるのですね。
    >
    > 出版業界の運営の厳しさが伝わってきます。

  10. yuris22 より:

    marie様

    営業職は心身ともに辛い毎日だとお察しします。
    でもmarieさんの仰る通りにウソは駄目です。ウソをつこうとすると、声が上ずったり早口になったり、電話口でバレバレなんですよね。
    自分が売ろうとする商品をどれだけ心から信頼しているか。それを真摯に伝えられる心意気が営業なのだと思っております。

    > こういう商法に引っ掛かるのは、それだけ人間は弱いんでしょうね。
    > 苦しい時の神頼みとはよく言ったものですが、引っ掛かける方もよく次から次へと心の隙間へ入り込みやすくするものだとある意味関心してしまいます。
    > 営業トークも上手くならないと物も保険も売れませんが、うそは行けませんよね。
    > 今後、どんな世の中になるのか不安ですね。

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