居心地の良い場所を探す人生

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フレーフレー!えびす様!のGさんからまた深夜に電話があった。相変わらず酔っぱらっていたが、今度の要件は「お尻触らせて」ではなく「宅配便の送り状がまだ来ないよ」である。それもそのはず。房総の野菜や魚を沢山送ってくれるという申し出に感謝したものの、私の住所を宛先にした送り状を郵送するのは図々しすぎるので、とりあえず寒中見舞いの葉書を出しておいたのだった。

それから数日後、Gさん宛の葉書は宛先人不明で戻ってきた。電話で聞いていた住所は千葉県○○市××××番地」。市の次に町名がなくて届くのかと怪しんでいたが、予想通り戻ってきたのである。
「本当にこの住所なの?」と再確認すると「間違いない」の返答。しかし「もう一度言って」をしつこく繰り返したのち、ぽろっと町名が返ってきた。こんなことなら私の住所をGさんが書き留めれば良さそうなものだが、「オレ、字が下手だから書くのが嫌なんだ。だから送り状をまとめて10枚ぐらいこっちに送ってよ」と照れた声が返ってくる。房総のハマグリやタケノコをドサッと送ってくれるという約束で、今回は早めに電話が切れた。

しかし案の定、3分後にまた着信。次の一言は「こちらの女の人はみんな可哀そうなんだよ」と唐突な内容である。Gさんの町の女性たちは服装も顔だちも垢抜けず、ばりばり仕事をこなしているキャリアウーマンなど見当たらないというのだ。ずいぶん極端な意見であるが、それは彼女たちが家庭に落ち着いて幸せでいる証拠じゃないかと反論した。それには直前に見たドラマの印象的なシーンが影響していたからだ。

木曜日22時からの連ドラ『最後から2番目の恋』で、飯島直子演じる専業主婦は、日頃から夫を「じじい」という愛称で呼んでいる。ところが我慢が頂点に達した夫から、身だしなみには気を使わず家事も手抜きな妻に、夫蔑視の言いぐさはないだろうと逆襲を受けるのある。
「本当に歳をとった相手にはそんな失礼な呼び方をしない」という妻の本音は、軽口が愛情表現。主婦はおしゃれをしなくても相手を逃す不安がないから怠けられるのであり、一生一緒に過ごす人がいるから自分の駄目なところを全部見せても大丈夫・・と思っているのだ。

幸せも満足も我慢も理不尽さも、専業主婦には専業主婦にしか、キャリアウーマンにはキャリアウーマンにしか分からない理屈がある。空気のような間柄になった男と女であっても、未知なる部分は山ほどある。諦めながらガッカリしながら、最終的に居心地の良い場所を探していくのが人生なんじゃないだろうか。それが見つからないまま幕を閉じる人もどれだけ沢山いるだろう。

しばらく喋って電話を切る直前、Gさんからのお願いは「次の金曜日、東京で一緒に飲みに行ってくれる?」だった。仕事が立て込んでいるので当分は無理だと伝えると、来月でも再来月でもいいから待ってるよ!と涙声になる。図体は大きなくせに、この猛烈な寒波が影響しているのか弱々しいこと。淋しさを持て余した男心に早く暖かな春が来てくれることを願うばかりである。

コメント

  1. marie より:

    居心地の良い場所

    探してます。
    自宅以外で・・・。

    最近、「最後から二番目の恋」と言うドラマにはまっています。
    昨日の飯島直子さんの扮する役柄に自分を当てはめて色々と考えました。
    ドラマの中では夫への不満「ネット上のみの浮気行為」で家出をしている主婦。
    夫、息子1人とまさに我が家と同じ家族構成。
    夫婦って何だろう・・・。
    家族って・・・。
    新婚当時の気持ちはやはりなくなるものです。
    ただ、不満を必要以上にため込むと・・・仮面夫婦だの離婚だのって結果になってしまうんでしょうね。
    他人との生活はやはり難しいです。
    やはり、最近の大雪もメンタル面に影響しているのかもしれません。
    統計的に東北は冬が長いから「うつ」とかが多いといいますよね。

  2. yuris22 より:

    marie様

    『最後から2番目の恋』のファンだったのですね。私は中井貴一さんの出演するドラマや映画は欠かさず見ております。若い頃に比べて、今は本当に良い味を出してるなあと惚れ惚れ・・・・・。
    切ない大人を主人公にしたドラマがもっと放映されて欲しいですね。どんなに歳をとろうと胸キュンの恋は永遠の課題です。

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