歳時記で綴る秋の夜長

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風に吹かれてカサコソと転がる。野太い手がバシッと押さえる。落ち葉と与六の追いかけっこが忙しい週末、ベランダから見える小高い山では所どころに紅葉が始まっている。夏は涼しい木陰を提供してくれたポプラも、木枯しに備えていち早く冬支度。

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「ゆく秋や何をおそるゝ心ぜき 」(久保田万太郎)

カレンダーが残り2か月となってしまった。これは大変だ、何かしなくちゃと焦りは募るが、ジタバタしている間に晩秋の日暮れは早い。年の暮れも超駆け足でやってくる。お年玉付き年賀はがきが発売開始になったとニュースで言っていたのを思い出し、与六に午年のコスプレをさせねばと、ネコの洋服屋さんから届いた「福招きの白馬にゃんセット」の衣装合わせをした。馬の頭を被せられて、ぶんむくれ。年賀状用にはおやつをチラつかせて視線を貰い、もっと上手に撮らなくちゃならない。

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「タイ購へばネオンの温み秋惜しむ」(宮武寒々)

先月買った温かいポンチョを来て歩ける季節になった。見せに行く先は彼氏ではなくて、鎌倉の小料理屋「奈可川」。ガラガラッと引き戸を開けてカウンターに座ると、松茸の土瓶蒸しのメニューが目に入る。サバの塩焼きも頼んで、熱燗の次はフグのヒレ酒へ。継酒を空ける頃には充分に身体が温まり、小町通りのバー「しゃるまん」へと向かう。看板に灯りがついているのを見て喜ぶ私は、人恋しいネオンの申し子だ。

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「あはれ子の夜寒の床の引けば寄る」(中村汀女)

深夜に帰宅して、就寝前のカモミールティー。よいしょとソファーに座ったとたん「寒かったニャン、待ってたニャン」、与六が肘掛けと太ももの間に割り込んでくる。昼間の日だまりの匂いがする頭をゆっくり撫でていると、ガサゴソした動きが緩慢になり、私もうつらうつら。時計の音と猫の寝息だけが聞こえる、静かな静かな時間。

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秋の夜長は言葉を遊び相手にしようと、歳時記で心模様に合った俳句を探してみた。あと3日もすれば立冬。ストーブを出す前に、うら寂しい11月には心の暖房が必要かもしれないな。

コメント

  1. かずぅー より:

    (*^o^*)ロマンチックですね。なんか、素晴らしい人生と思う(*^o^*)

  2. yuris22 より:

    かずぅー様

    素晴らしい人生なんですね。ビックリと同時にありがとうございます。
    海と山とを毎日観賞できる場所に暮らし、そして小さな町で陽気に飲んで、確かに幸せな人生かもしれません。

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