デパートと地下街に見る格差社会

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昨日は渋谷でクライアントと打ち合わせ。これから2か月間、修行僧のような家籠りと原稿書き生活が始まる。毎年の恒例行事ではあるけれど、いつまでネタが続くのか自分の頭脳が心配になってしまう。帰りは横浜駅で下車して大型書店巡りをし、多ジャンルに渡る参考資料を手に入れた。

両手に下げた重い紙袋に指が痺れてきたころ、猛烈にお腹が空いているのに気付いた。しかもダイエッターには御禁制のラーメンをどうしても食べたい。明るいうちから素面で家系ラーメン店に入る勇気はないので、高島屋の最上階にあるレストラン街に行ってみると、ローズ亭という店のサンプルケースにサンマーメンを発見。午後3時のランチとなった。

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オーダーを終えて、改めて店内を見回せば9割が女性客。服装はリッチでお上品、笑い声はけたたましいオバサマたちのグループばかりだ。平日の午後にデパートでショッピングして、夕食の支度まではお茶とお喋りに費やして、団塊の世代から上の方たちは日本でいちばん恵まれている年代のように思える。さっきまで歩いていた西口地下街で、3コインズショップに若い女性たちが溜まっていたのと対照的だ。同じようなダウンを着て無表情な彼女たちは学生なのかフリーターなのか、若いのに存在感が薄いのである。

思い出したのは数日前に見たNHKのクローズアップ現代「あしたが見えない~深刻化する若年女性の貧困~」。なんと高卒の女性の5割弱が非正規雇用であり、彼女たちは非正規の男性たちとしか出会えず、子どもを産んでも育児ができない環境にあるという。
しかも20代のシングルマザーのうち8割は年収114万円未満。生活保護を申請しても3カ月かかるので、託児所を用意してくれる風俗産業で働いている。精神的にも金銭的にも一人ぼっちで泥の下に潜ってしまうと、社会が用意したセーフティネットには引っかかりようがないのだ。

アベノミクス効果で「景気は回復している」「首都圏1都6県の有効求人倍率は去年の12月を上回った」なんて明るいニュースが流れても、彼女たちは蚊帳の外。厳しい経済環境は父母の代から始まったことではなく、その親もその親も・・・生活苦の連鎖が続いてきたのである。

デパートで優雅にお茶するオバサマたちの孫と、シングルマザーが抱えた子どもとの違い。日本は誰にでも平等に教育の機会が与えられるが、家庭環境がその機会を奪ってしまえば、格差社会は延々と続く。

親のすねかじりで大学まで行かせて貰い、勉強と遊びの時間を充分に与えられ、喰うに困らず来た私は何てお調子者だろう。こうして文章書きやプログラミングの仕事を貰えることも自分ひとりが努力した成果ではないのだ。恵まれていることに感謝して、不平不満をシャットアウトしなければ地獄に落ちるよ。げんこつで自分の頭をコツンと叩き、幸せが充満したデパートのレストランを後にした。

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