人を助ける貧困ビジネス

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JR新橋駅・汐留口から地下鉄銀座線乗り場に向かう地下通路。急ぎ足で行きかう乗客の動線から少し離れて、ボーっと宙を見つめるホームレスがいた。敷物もなく荷物に頭を載せているところから、場所を移動しながら暮らしているのだろう。彼の目に明日はどう映っているのか。

厚生労働省の調査によると平成20年4月現在、東京都のホームレス数は3716人で、平成19年の4690人より減少しているというが、昨年秋からの大不況により、ネット難民などカウントされない隠れホームレスが急増していることが想像できる。

独りぼっちで希望を失くし、hopelessからhomelessとなった彼らのために、仕事を提供し自立を応援する事業がある。『ビッグイシュー日本版』という雑誌をホームレスたちが路上で売ることにより生活費を得るシステムだ。

「定価300円の雑誌をホームレスである販売者が路上で売り、160円が彼らの収入になります。最初の10冊は無料で提供し、その売り上げ(3,000円)を元手に、以降は1冊140円で仕入れていただく仕組みです。」
(『ビッグイシュー日本版』WEBサイトより引用)

販売者は顔写真と販売者番号の入った身分証明書を身につけて商いをしているそうで、WEBサイトには「1万冊目を今年1月6日に達成」「ベッドで眠るのが夢。今は酒よりも仕事が楽しみ」「頑張って働く姿が家族に伝わり、いつか再会できたらうれしい」等々、日本全国で雑誌を売る彼らの顔と声が掲載されている。

元は1991年にロンドンで生まれた「セルフヘルプ」のビジネス。2003年に日本で創刊号が出た時には100%失敗すると言われていたそうだが、今では全国12都市で販売。読者比率は62%が女性、年齢では20~30代が5割を占めているそうで、活字離れの筆頭にあげられる年代が進んで購入している。
第114号となる最新号は、オバマ大統領のスペシャル・インタビューや、3億年の地球環境変化を乗り切って生きてきた昆虫をテーマに「道に迷ったら虫に聞け」という特集を組んでいるなど、プラス思考が満載だ。

1冊売れば160円の利益。一日あたり20~30冊売れば簡易宿泊所に寝泊りすることもでき、販売しながら人と接することで社会性を身に付けていくこともできる。

ゴミを漁る一歩手前だったというホームレスの談。雑誌を初めて買ってくれた若い女性がかけてくれた言葉は「頑張ってください。あなたが思っているほど世間は冷たくないですよ」だった。
渡る世間は鬼ばかりじゃない。政党が足の引っ張り合いをしている間に、国民は「隣人愛」を育んでいる。

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