魚を上手に食べることはアートだ

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ここ数年、食材と日用品の購入は生協の宅配を利用している。しかし魚だけは別。家から歩いて5分の距離に小坪の魚市場があるので、わざわざアイルランド産の鯵やセネガル産の太刀魚を注文する必要がないからだ。

カタログを見て首を傾げるのは、これを魚と呼べるのかと思う商品が増えたこと。目立つのは「骨取り」の文字。ひれと小骨を取ったノルウェー産の鯖が「お弁当に便利!骨抜き小さな塩さばの切り身」を謳い文句に掲載されている。その下にはレンジで焼き魚コーナー。韓国産のさわらをベトナムで骨を取って西京焼きにし、レンジでチンすればOKな冷凍パックにしてある。これが家族団らんの食卓に並ぶとは骨抜きどころか、手抜きじゃないだろうか。

塩サバ
さわら
我が家の食卓では魚料理はお頭付きが当たり前。さんまの塩焼きが大好物だった祖母は頭から尻尾まで食べ尽くし、「私は猫またぎなのよ」と自慢していた。猫またぎとは本来、猫も跨いで通るほど不味い魚を意味するのだが、祖母の場合は骨までしゃぶってしまうので、猫の分は残らないという意味だったらしい。その血を引いた父は魚好きが高じて自分専用の釣り船まで買い、大漁の時には小学生の私まで魚をさばく作業に駆り出された。エラの付け根にざっくりと包丁を入れる瞬間は今や快感となり、鯵や鯖ぐらいなら鼻歌混じりにおろすことが出来る。

あじさば
魚への慣れは幼少の頃が勝負だ。なのに鮮魚には怖くて触れないというママたちが増えたせいか、子どもたちは切り身が海の中を泳いでいると思っているらしい。彼らに日本の魚料理を啓蒙すべく、水産庁が学校給食での骨付き魚の普及に乗り出したのは素晴らしい試みである。

 和食が国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことを受け、水産庁は学校給食での骨付き魚の普及に乗り出す。煮魚や焼き魚は日本の伝統食だが、同庁の調査では、骨のある魚料理を「上手に食べられる」という小中学生は半数以下。子供の頃から魚を食べる習慣を付けることで、魚の消費を拡大させる狙いもある。
 約130種類の魚介類が水揚げされる庄内浜に面した山形県酒田市。魚食が深く根付く同市でも、子供の“魚離れ”は深刻だ。
 同市の小学校で給食に骨付きの魚が出るのは月1回程度。多くの児童は、サンマを見てもどこに箸を入れていいか分からないといい、給食を担当する市教委の佐々木和佳・調整主任は「ツナ缶や魚肉ソーセージだけが魚料理だと思っている子供がいる。骨付き魚の食べ方も指導しないといけない」と話す。(2014年05月21日 YomiuriOnline「どこに箸入れるか分からない…骨付き魚、給食に」より引用)

骨付き魚の楽しみは食べ終わった後のお皿にも。「上手に食べたね」と褒められるのは嬉しいし、箸で身を綺麗にほぐし取って最後に残った1本の骨は、和食ならではのアートだ。

こんなことを書いているうちに、梅雨入りが近づくこの季節、芳ばしいキスの塩焼きを食べたくなった。磯の香りのする魚がいつでも手に入る場所で暮らすことは最高の贅沢である。

キス

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