深夜に開いたEメール。
「今日、朝早く癒しの桜探しに遠野迄行って来ました。中々良いスポットを見つけました。」
岩手の友人から届いたのは、東京の人間なら記憶が薄れつつある「桜」の写真たちだった。
クリックした最初の写真に惹きつけられる。茅葺の水車小屋に寄り添う桜の木。
小屋の中から美しい百姓娘が出てきそうな、柳田國男の書いた伝説が現実になった世界だ。
一度も行ったことがないのに、妙に懐かしいのは何故だろう。生まれる前の記憶だろうか。
独り占めするには申し訳ない景色なのでアップさえて頂いた。いいですよね?Rさん。
そしてもう一枚のカメラマンは私。
一昨日に恵比寿ガーデンプレイスの2階から撮った黄昏だ。
手がブレて滲んでしまったけれど、空が紺青色に染まったひと時をどうしても残しておきたかった。写真の上部ぎりぎりには、宵の明星も光っている。
どこで見たんだろうこの空?記憶のアルバムが逆さにめくられていく。
この時刻になると、高校生だった頃、古文の授業を思い出す。
「黄昏(たそがれ)」とは「誰そ彼は(たそかれは)」・・薄暗くて隣にいる顔がだんだん見えなくなる夕暮れ。
「薄暮(かはたれ)」とは「彼は誰そ(かはたれそ)」・・遠くにいる人もだんだん誰だか見えてくる明け方。
確かそんなふうに先生が教えてくれた記憶がある。今は朝夕、どちらの言葉を使っても構わないらしいが、いにしえの日本語は美しい。
こんな一瞬一瞬に、この先何回足を止めるんだろう。
やがて髪は白くなり腰が曲がっても・・
また生まれ変わって未来の若い瞳も・・
景色に言葉に歌に、きっと同じ一瞬に足を止める。
コメント
初めまして!
ランキングからまいりました。
いくつか読ませていただきました。
しっとりしたお話がたくさんで、脈拍が下がる思いがしました。<変な表現でごめんなさい>
それにしても素敵な文章ですね!
勉強になるとともに、心が落ち着きました。
追伸
ウディ・アレンの新作のご紹介も楽しく読ませていただきました。
応援ポチッ!
単身赴任のYH 様
応援ありがとうございます(^^)
歌詞を書くようにリズムを取りながら、文章を紡ぐのが私のスタイルなのですが、気に入って頂き幸せです。
人が文章を読むときは、心の中で声を出しますよね。
ブログでも一発のキャッチコピーでも、その方の声がいかに心地よく響くかを心がけています。
YHさんのブログ、さっそく拝見しました。
とても勉強熱心でいらっしゃるのですね。
1年半以上も書き溜めた宝物は羨ましく思います。
これからもどうぞよろしく!!
「Firefoxで文字が重なる」なんて、
酔っ払いの戯言に早速対応いただきまして
ありがとうございました。m(_ _)m
とても見やすくなりました。
こまちゃん
まだ酔っ払ってなかったでしょ(笑)
StyleSheetをいじっただけですが、本来はJavaScriptでブラウザ振り分けをしなくちゃ。
暇が出来たらきちんと直します。・・って紺屋の白袴ですね。
「デジャヴ」「デラシネ」とか、
子供の頃覚え、憧れた音、言葉、意味
なにか、現世でないどこかに・・・いる自分
いつか
どこかで
しずかに
黄昏ていきたい・・・。