人情という名のテーブル

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今夜の夕食は何にしようかと考えている午後7時過ぎ、携帯電話が鳴った。10月13日の日記『日曜日と大家族の団らん』に書いた小坪のゆうき食堂からで、私が1人で食事をするのは淋しかろうと案じて誘ってくれる電話だった。

ジャージ姿で迎えの車に乗り、走ること3分。暖簾を取り込んだ店内に入ると、テーブルをくっ付けて既に宴会席が出来ている。
大皿にはスタッフのKくんが揚げた「生しらすの天ぷら」や釣り宿の船長が持ってきた「厚切りハムステーキ」。焼酎のお湯割りが好きな私のために、電気ポットをコンセントにつないである。
「ゆり子先生、こっちこっち」とマスターに呼ばれて一番奥の席に座ると、さあ乾杯!
祭りの会長、漁師の親方、船長、アマチュア野球リーグの主催者・・・と地元のお父さんたちに加わって、これまた地元の話に花が咲く。

熱く語る今夜の焦点は政治ネタ、民主党で誰を応援するかだ。
逗子・鎌倉市民なら誰でも知っている2人の若手政治家がいるのだが、それぞれの政策や過去の業績、ポスターの出来栄え、ふところ具合、一緒に飲んだ時のお酒の強さに至るまで、知ってる限りの情報を並べて将来を談義する。
まるで競馬の予想みたいだなと笑いを噛み殺したが、政治家はこんな地元の応援団に支えられているのだと、改めて認識を得た。

「元気ないなあ、飲んでる?」とお湯割りを何倍作って貰っただろう。いつしか話題は陽気な方へ飛び、笑い声がこだまする。
話がカラオケに及び、演歌は歌えるかという質問に『天城越え』のワンフレーズまで披露してしまった。次回は揃って喉自慢に繰り出そうと、カレンダーで候補日を探す。

夜10時を回ったお開きに「帰りは送ってやろう」と言ってくれる暖かい家族。
飲みすぎて今日はお昼まで爆睡してしまったけれど、身体の疲れどころか心の疲れまで吹き飛ばしてくれた人情の夕げだった。

コメント

  1. 風小僧 より:

    温かい雰囲気が伝わってきました。
    人の温かさは思わぬ言葉掛けで感じるものですね。
    お近くに、良いお友達がおみえになりますね。
    それもyurisさんのお人柄でしょうね。
    私も近くにいればお誘いをするでしょう。
    私ごとですが、昨日鯛を頂き、今日は椎茸を頂きました。母は好物ばかりですので、でも私の仕事が終わるのが8時過ぎですので、それから鯛を下ろして頂きました。
    「有難いね~」の一言に「うん」と返す言葉で…。
    今日は椎茸を焼いて食べて、また「有難いね~」でした。
    今年も残り僅かになりました、誰かに温かさを送らねばと思っております。

  2. T・O より:

    楽しい会話、笑いはほんとうに疲れなんか吹き飛びますよね。

  3. yuris22 より:

    風小僧様

    とても悲しいことがあって眠れず、落ち込んでいたのですが、私の表情だけで察してくれる人たちには「ありがとう」を百万回言っても言い足りません。

    お母様との食卓、ぬくもりの絵が伝わってきました。
    温かさを送っていただき、ありがとうございます。

  4. yuris22 より:

    T・O様

    彼らの会話はまるで現代の熊さん八っつあんで、お腹の皮がよじれるほど笑わせて頂きました。住まいは違っても、小さな町の空の下に暮らす家族です。

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