うっとりするほど美しい月が出ている。2009年1月11日午後6時半の空。月齢表では明日の正午が十五夜だから、限りなく満月に近いのだろうか。
清少納言は『枕草子』で、白々とした冬の月を嫗(おうな)の化粧と並べて「すさまじきもの(殺風景、興ざめ)」と表現した。嫗とは年配の女性のことで、意味はおして知るべしだ。
それに対して紫式部は『源氏物語 朝顔の巻』で、「すさまじきためしに言ひ置きけむ人の、心浅さよ」と清少納言にイヤミを言い、冬の月の澄み切った美しさを「あはれ(しみじみとした哀愁)」と表現している。
私とすれば紫式部派。「綺麗だね」と恋人と肩を並べて見る月ではないけれど、「色なきものの、身にしみて、この世の外のことまで思ひ流され」としみじみ独りで眺める月のように思えるからだ。心は生まれる前にさかのぼって旅をする。
冷え切った夜空に凛として冴える女王をカメラに収め、暖かい室内に戻った。素人には月を撮るのは難しいけれど、精一杯の数枚をここに載せることにする。
月冴ゆる、月氷る、寒月。供えるススキの穂もないけれど、この寂しさは嫌いではない。
コメント
孤高の女王
「寂しさ」と「近寄りがたき美しさ」を感じる。
素浪人様
かぐや姫が帰った先はこんな月だったのかなと思えるほど、大きな十五夜(十四夜かも)でした。寒くなければずっと見ていたい美しさです。
月はいいですね。そういえば、去年の12月初めだったと思いますが、星が二個並んでいる真下にお月様があり、まるで笑っているような現象がありました。
友人や夫とメールで騒いでましたよ。あれは奇跡だったのでしょうか?
満点の星空、綺麗なお月様。
これは、私達人間と、動物達への神様からのプレゼントではないでしょうか。お金では決して買うことの出来ない、宝物。
人間はどうしても悪い事があったり、占いで言う「大殺界」になると、ネガティブにばかりなりがちです。
けれども、決して明けない夜はないですよね?
暗い夜でも月や星が輝くように、どんなに悪い時期でも私達人間にだって光があると思います。
私の記憶が間違っていなければ満月と十五夜は別物だった気がします。十五夜≠満月だったような…。曖昧なのにでしゃばってすみません。。
marie様
冬の月も好きですが、冬の星座の代表・オリオン座も大好きです。真ん中に三つ星が並んでるので見つけやすいのも嬉しいところ。キラキラと瞬くのを見ると、私たちに合図を送ってくれているようで、星と会話できた気がします。
先に逝ってしまった人たちが住んでいるに違いないと、勝手な解釈をしています。
はっち様
そうでした。十五夜は中秋の名月、旧暦8月15日の月でしたね。今の満月は正しくは月齢15前後と言えばいいのでしょうか。でも詩人としてはロマンティックでないので、あえて十五夜でお許しくださいませ。