血を吸われたいフェロモン男

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風の音がクレッシェンドして、木々がザワザワッと騒ぎ出す。窓を細めに開けて外の様子を伺えば、湿った生ぬるい空気が不気味だ。
昨晩の9時に撮った写真は左側の2枚。濃霧がたちこめて家々の灯りがうるんでいる。そして午後11時が右端の写真。南東の空が血のように赤く染まって、まるで天災でも起こる前兆のようだ。

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6月22日23時

こんな怪しげな夜には、古典的なホラー映画が似合う。中でもドラキュラ伯爵は私にとって永遠の憧れである。「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のトム・クルーズよりも、「ドラキュラ」のゲイリー・オールドマンよりも、なんたって元祖「吸血鬼ドラキュラ」のクリストファー・リーが好き。

彼が演じるドラキュラは、ダンディでノーブルで危険な香り。大人の孤独と情愛。クワッと口を開けて牙をむき出し、女性の喉に噛み付く瞬間は「もうどうなってもいいわ、どんどん吸って」と悶えたいほどセクシーだ。次々と美女を惑わしては生き血を吸っていくのに、彼女たちはほんのりと頬を染め、恋の主導権を渡してしまう。

これまで幾つかの恋愛をした中で、最も扱いにくいのはこうした「大人のフェロモン男」だった。目の前に立つと蛇ににらまれたカエルになるからだ。いきなりキスを奪ったあとに、シガーをくゆらせながら「アイシャドウは似合わないからやめなさい」。そんな子供扱いが、こそばゆくて心地良い。

「好きだよ」の一言がないから、「今度はいつ会えるの?」さえも聞けない距離感。電話がかかってくることを朝から晩まで心待ちにして、お風呂に入るときでも携帯着信に目を光らす。背伸びした服の数は溜まり、やっとデートに漕ぎ着けても、何を話しかけたらいいものか「今日は晴れましたね」などとお天気お姉さんになってしまう。

結局はエレガントな演技力が足りず、手も足も出ずに「あー、肩が凝った!」でジャージに着替えてしまう庶民女。松任谷由美の『DESTINY』の歌詞が見事にマッチする。

♪冷たくされていつかは みかえすつもりだった
それからどこへ行くにも 着かざってたのに
どうしてなの 今日にかぎって 安いサンダルをはいてた♪

この手の話をブログに書くと、チェックした逗子の男友達が聞いてくるのは「ゆりちゃん、たまってんの?」。フン、馬鹿めが! 大きなお世話だ。
危険男も大人男も私には向いていないことを薄々と感じつつ、こっそりとドラキュラ伯爵のアバンチュールを思い描く。そんな私を友人たちはお腹を抱えて笑うだろう。
「そんなに血を吸って欲しいんなら、小坪の墓場に行って蚊に刺してもらいな」。フンだ!!

コメント

  1. marei より:

    危険な男…。
    一時期ハマりました(勿論結婚前ですが)。いけないとわかりつつハマっていく自分。男を虜にする女が居るように、女を虜にする男って居るんですよね<_<)o>>
    そう言う危険な香りを持った男は歳を重ねても魅力的なんですよね(笑)

  2. yuris22 より:

    marie様

    若かりし頃から銀座や六本木で遊んで、今も現役の65歳が集まる会があるのですが、その名簿を見せてもらいました。デザイナー、映画監督、俳優、レストランオーナー、社長・・エトセトラで、例外なくカッコいい方たちばかりです。合コンしたいなあ(笑)

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