オーブントースターがチン!と鳴り、丸餅が雪だるまみたいに膨らんでいる。元旦の定番メニュー、我が家のお雑煮は至って素朴だ。題して織田家の芋大根。
具はイチョウ切りにした大根と里芋、干し椎茸。本来は鶏肉を入れるのだけど、焼き鳥以外は苦手な私は蒲鉾を添える。今年は天然むぎわらで包まれた山口県の「宇部かま」。トッピングは三つ葉なのだが、やっぱり苦手なので代わりにセリを散らし、柚の皮を香り付けに落とす。出汁は鰹節と昆布で取って、薄口醤油を少々のシンプルな味だ。
曲げわっぱの半月盆に祝箸をセットして、大き目のお椀でいただきまーす。立ち昇る湯気から、祖母が白い割烹着で作ってくれた思い出が蘇る。子供時代は嫌々食べていた里芋も、土の香りとねっとりとした食感が今は好物になった。家のご先祖様は野菜が不足しがちなお節料理を考慮して、こんな田舎風のお雑煮を代々伝えてきたのだろう。
旅行に出かけるわけでなく、晴れ着で参拝するわけでなく、静かな普段着のお正月。これが毎年続いていくことが「おめでとう」なのだと、自分で築いた我が家で想う。
明朝は10時から、小坪漁港で恒例のみかん投げ。大漁旗を飾った遊漁船から、浜に向かって龍宮様に奉納したみかんを投げる行事だ。去年は出遅れて一個もゲットできなかった私に、「早く来て一番前でキャッチしてよ」と浜の飲み仲間たちが激励してくれた。明日は山盛りのみかんでビタミンCを補給して、無病息災の一年を祈ろう。
コメント
おいしそう。
シンプルな料理こそ一番のご馳走だと思います。
marie様
お褒め戴いてありがとうございます。カップ何杯、大さじ何杯というレシピ本は苦手で、もっぱら勘と記憶に頼る調理です。それでもインスタントに頼らず基本を守れば、昔ながらの味が誕生するものなのですね。
今夜はその後、大根とにんじんで「なます」を作ってみました。オリーブオイルを使ったイタリアンなます。祖母に食べさせて、目が白黒の感想を聞きたかったな。