パンダから連想する1972年と今

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民主党の内紛騒ぎを押しのけて、昨夜はどのテレビ局もトップニュースは「ジャイアントパンダ到着」であった。航空機から降ろされた檻を望遠カメラで捉え、「はっきりとは確認できませんが、白と黒が見えます。あ!動いています、動いています!」と興奮するレポーターの中継は、まるで国賓のお出迎えだ。

思い起こせば1972年の秋、日中国交回復を記念してカンカンとランランがやってきた時も、国をあげてのパンダブームとなった。「この目が黒いうちに一目見たい」と、我が家には四国から伯母が泊まりに来て、上野動物園の開園前の行列に並んだ。ニコニコ顔で帰ってきた叔母に聞いた感想は、「足を止めたら怒られるのでほんの一瞬だったけど、白いお尻みたいなのが見えた」。それでもご利益があるかのように喜ぶ様子に、日本の明るい未来を見た気分になったものだ。

その年の首相は佐藤栄作から田中角栄へ。アメリカから日本に沖縄が返還され、グアム島では元日本陸軍兵士の横井庄一さんが発見され、大井競馬場にはハイセイコーがデビューし、超音速旅客機コンコルドが羽田にやってきた。その一方で反体制側では、連合赤軍のあさま山荘事件、テルアビブ空港での日本赤軍乱射事件。そして日本列島改造論が地価を上昇させてインフレが発生し、翌年のオイルショック、狂乱物価へと繋がっていく。

パンダが裏付けというわけじゃないが、時代の変わり目としては今年と似ている気がする。
国民を置き去りにした政治にブチ切れた若者たち。エジプトに次いでリビア、イラン、バーレーンと飛び火していく反政府デモが、原油先物相場の最高値を更新させ、石油関連の製品価格が高騰する。漁業、農業、食肉業、運輸業等々への打撃。サブプライム問題で起きた第三次オイルショックを超える危機へ突入していくのではないだろうか。

上野のシンボルだったリンリンが逝ってから3年。待ちに待ったパンダ到着により、街が活気づき、景気の上昇を期待する人々。インタビューに「これからきっと良くなるよ」と答える笑顔を裏切らないよう、給料泥棒こと日本の政治家たちには、過去を繰り返して欲しくないと願っている。

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