無力さを知った天変地異

広告

M8.8の巨大地震から一夜明けた。ニュース映像を見ていても、これは夢じゃないかと半信半疑のままでいる。観測史上最大のマグニチュード。10県にも被害が及んだスーパー広域災害。街を丸ごと飲み込んだ津波。メルトダウンの危険をはらんだ原発の緊急事態。夜中には何度も緊急地震速報が鳴り響き、震源が移動していくのを感じながら、日本沈没が頭をよぎった。

パソコンに向かっていた昨日の午後2時46分。ん?地震かな?と固まっているうちに、横揺れの振幅がどんどん大きくなってきた。足元にいる与六を抱きかかえ、2階にいればいいのか、1階に降りた方がいいのか、腰を浮かしている間に停電。とりあえず出口確保のために窓を開け、食器棚を手で抑え、他に為すすべもない。2~3分の揺れが1時間にも感じた長い恐怖だった。幸いにも落ちたもの、倒れたものは一切なし。

その後も余震が続き、外が静かすぎるのが不安だったが、非常用ラジオはガーガーとノイズが入るだけ。スマートフォンでワンセグが見られることに気付き、停電と断水が続く中、アウトドア用のランタンを灯してニュースを見続けた。夜8時半にライフラインが復旧しても、一寸先が見えない不安は変わらない。

2週間前に『人身事故の多発日と胸騒ぎ』の日記を書いたとき、あくる日から始まった頻繁な地震に、ますます胸騒ぎが高まっていた。大型の地震ほど遅れてやってくるからだ。3月9日に三陸沖でM7.3が起きた時、これを感知していたんだと思ったのはフェイントで、まさか後に本震が控えていたとは予想だにしなかった。

今日もずっとニュースを流しているが、規模が多すぎて被害の全容が分からない。日本にとって未体験の大規模災害。中国やロシアも、世界中から支援の申し出が届き、国連総長の「国連は日本国民の力になりたい。できる支援はすべて行う」というメッセージに涙が出た。

独り身の私を案じた友人たちから電話やメールが届き、「大丈夫?被害はない?」「東京にいるんじゃない?」と心配してくれる人がいることが嬉しくて、また涙腺がゆるむ。

大地と海。母なる自然が一変して牙をむいた。大不況で困窮している国民に容赦なく、矛先構わずとどめを刺してくる。地震で頂上が曲がった東京タワーは、天にも届くスカイツリーを作る驕った人間たちに、「バベルの塔」の暗示を見せたのではないだろうか。

自然を前にして人間は無力だ。天変地異を目の当たりにして、自分の無力さを思い知る。逃げることもできず、助けに行くこともできず、一人でも多くの命が救出されるように、空に向かって祈るだけである。

3月12日の雲

コメント

  1. オ・キ・ト より:

    ホンとにご無事で何よりです。。。
    こちらは、津波注意報も解除され
    被害はないのですが、4年前の恐怖が蘇りました。
    あの地震の何倍もの天変地異が襲ったなんて・・・
    とても他人事とは思えません。
    被災地の皆様には心よりお見舞い申し上げます。。。

  2. yuris22 より:

    オ・キ・ト様

    原発の爆発が最悪のケースだった場合、放射能は2時間で首都圏にやってきます。その場合は首都圏の住民に避難を促すのでしょうか。まるで世紀末を見ているようです。今夜が分かれ目でしょう。
    私たちは命があることに感謝して、亡くなられた方々の分も、しっかり生き延びなくてはいけませんね。

  3. 的は逗子の素浪人 より:

    無事でなによりです。
    実は家人が仙台に住んでいますが、三日前にこちらに帰ってきていました。奇跡的です。

    しかし、原発の爆発・崩落以後の情報が出されて無いのが不気味です。

  4. 恵比寿の より:

    ご無事でなによりです。いつも地震雲や予兆についてコメントされている炯眼に敬服です。

  5. 恵比寿のおっさん より:

    失礼しました。書きかけでした。
    ご無事でなによりです。いつも地震雲や予兆についてコメントされている炯眼に敬服です。
    地球のエネルギーの流れを感じるべく意識を持つことの大切さを知った思いです。

  6. 華梨 より:

    コメントご無沙汰しております。
    ゆり子さまがご無事で何よりですが、今回の大災害で被災されたすべての方々にお見舞い申し上げます。人命ももちろん大切ですが、被災したペットのことを考えると胸が張り裂けそうです。人命救助で精一杯の中、動物が持つ野生の本能を信じるしかないですね。

  7. yuris22 より:

    的は逗子の素浪人様

    地震の三日前にご家族が帰られたのですね。良かった~。神のご意志を感じます。
    一方で危機感がつのる福島の原発。政府の隠ぺい工作の匂いがするような・・。普段は役に立たないマスコミですが、チェルノブイリの二の舞にならないよう、こういう時こそ矛盾を追及してほしいと思います。

  8. yuris22 より:

    恵比寿のおっさん様

    ありがとうございます。お互いに無事で何よりでした。
    空が近い場所に住んでいると、地球の気の流れに敏感になるようです。特に地震雲に関しては方角も予知できるようになりました。思い過ごしであって欲しいのですが、本当に揺れると辛いため息。地震は大嫌いなものNO.1です。

    時々ブログに載せているのですが、地震が来る前は居ても立ってもいられなくなります。従って仕事の締め切りが迫ってるときは、「揺れるな!」と地面に怒鳴ることもしばしば。最近はその「恫喝」の頻度が増しておりました。

    これで終わったとは思えず、イライラはまだ続いています。次はどこに飛び火するかまでは分かりませんが、食べ物・飲み物の備蓄と、危機管理意識のキープは絶対に必要だと思っております。

  9. yuris22 より:

    華梨様

    ご心配頂いてありがとうございます。与六と一緒に、安全な「逗子シェルター」に籠っております。強固な岩盤に深く杭を打ち込んだ建物のおかげで、震度ほどの揺れは感じずに済みました。
    しかし、与六は動物の勘はどうしたのだーっ!と怒りたくなるほど足元でクークー寝ていて、何の予知能力も発揮しませんでしたよ(;_:)
    慌てる私に気付き、初めて体験する大きな揺れに驚いたことで、ますます引っ付き虫となっております。

    たとえ放射線漏れがおきても、この子を置いて逃げるなんて絶対に出来ません。最悪の場合はサバイバルできるよう、「可愛い子には旅を」のトレーニングが必要かなと思っております。

  10. marie より:

    ホント、恐怖の瞬間でした。
    今までにない地震でした。
    昨夜から電気と水が通りましたが、今朝スタンドに行ったら燃料が切れてガソリンが入れれませんでした。
    あと10リットルしか入ってないんですよ。
    食料はレトルトやわずかな野菜、缶詰を一人10個までと限定されての買い物でした。
    けれども、食べられる、電気と水が使える有難味がわかりました。
    どんな人でもわがままは言ってられませんよね。
    ライフラインは最低限は復旧したものの、余震が恐くて不安です。

  11. yuris22 より:

    marie様

    ずっと心配してました。ご無事で本当に良かったです。
    M9の本震は巨大地震で、余震のM7は大地震なのだそうですね。大地震が断続的にやってくる恐怖に耐えている方々には、一刻も早く時が過ぎていくのを願うばかりです。
    ガソリン、食料品、日用品・・、何もかもが不足していることと思います。でもお子さんたちのために、どうか逞しく生き延びて下さい。ラッキーなことに恵まれたmarieさんなら絶対に乗り越えられると信じております。

  12. あや より:

    人身事故の記事からこちらの地震記事に辿り着きました。
    最近…というか、今日も人身事故に遭遇しました。私の乗っていた電車ではなく、一本前の電車で、諦めてバスで帰ったのですが。
    その後も振替の電車がまた人身事故で止まっていたらしいのです。
    2、3日前も同じ線で電車が止まっていたのですが…
    普段、あまり電車は使いませんが、この線で人身事故というのは体験した事がなく←私が無知なだけなんでしょうし、都内なら当たり前かもしれませんが、地震の準備もしておこうと改めて思いました。

  13. yuris22 より:

    あや様

    コメントをありがとうございます。
    実を言うと、関東の地殻活動はあまりに静寂なので気になっています。エネルギーを溜め込んだあとは大きいのが来ますからね。
    そうした「気」を感じやすい人たちの潜在意識が集まって、が地震に繋がるという説もあります。おおらかに、私は大丈夫!と自分におまじないをかけるのも、地震回避の手かもしれませんね。

// この部分にあったコメント表示部分を削除しました
タイトルとURLをコピーしました