弱く見えるものほど実は強い

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私は植物を枯らすのが得意らしい。東京のオフィスで父の社長室を引き継いだ時、デスクの横にあるゴムの木が、黄色くなった葉をポロンポロンと落としていった。あんなに青々としてたのが1カ月で全滅。「どうしてでしょう?」と秘書は首を傾げていたが、彼女の本心としては私が妖気を発していると思ったらしい。

やがてオフィスを引っ越す際にフロアの最終点検をしている時、北に向いた窓に小さなサボテンの鉢が放置されているのに気付いた。ヒョロヒョロと不格好だったけれど、生きているからには捨てておけない。自宅に持ち帰って段ボール箱から出し、東南に向いた窓ガラスのそばに置いてみた。しかし水を与えて「大きくなってね」と世話をするほど、その子は萎れて元気を失くしていくのは何故だろう?

話は月日を飛ぶ。先一昨年の誕生日プレゼントとして貰った見事なシンビジウムの鉢。美しい花が終わった浅い春に、鉢を室内から日当たりの良いベランダへと移した。が、来年も咲いて下さいと毎日水やりを欠かさず、葉を拭いて手入れをしているのにどんどん弱っていくのだ。これは社長室にあったゴムの木と同じ微妙な性質かと思い、水やりやら肥料やらを調節してみても、翌年に花が咲く気配は全く見られなかった。鉢を大きくしなかったせいか、プレゼントしてれた主に不義理したせいか、もしくは本当に私が妖気を発しているのかと、ガッカリしながらまた一年が経った。

そしてそして、春の低気圧が暴風雨で大暴れした翌日、ベランダに転がった植木鉢を起こしながら奇跡を発見した。見放していたシンビジウムの鉢に、黄色い葉っぱの間から力強い花芽が何本も生えているのだ。摂氏5~6度が限界の蘭を、雪が降り積もろうと太陽ジリジリの炎天下だろうと放っておいたのに。

シンビジウム
ズボラなくせして花を咲かせるのが上手な友人から、嘘みたいなアドバイスを貰ったのを思い出す。「植木は放っておくのが一番。もともと元気な子は干からびて死にそうな頃に水をやると、みるみる蘇るんですよ」。

そうなんだよね。枯れたと思って諦めていたヒョロヒョロのサボテンも放置したら復活している。父が窓辺に放っておいた理由が何となく分かり、もともと水などやらなくていいゴムの木に、居丈高なお節介をしすぎた私の至らなさが今になって分かった。相手をねじ伏せようとせず、持って生まれた力を見守り信頼してあげることから、お近づきの第一歩が始まるのだと思う。弱く見えるものほど実は強い。

追記:
シンビジウムのプレゼント主様へ心よりお礼を申し上げます。この鉢には昨年の大震災の折に小鳥がダイビング死し、今年の春には二度と恐いことが起こらないように願っていたところ、沢山の花芽をつけるという吉兆を見せてくれました。いいことあるかも!です。世界中の、花のように美しい心を持つ人々に幸せが訪れますように。

コメント

  1. 青蘭 より:

    はじめまして。
    シンビジウムのことを調べていたら、偶然こちらのブログに出会いました。
    引き込まれるように読んでしまいました。

    シンビジウム、こちらもここ数年花が咲きませんでしたが、今年は花芽が何本か出ています。
    現住地は極寒なので冬はお部屋に置くしかないのですが、
    確かに「至れり尽くせり」は実を結ばないことが多いと実感しています。
    これは子どもなども、同じかもしれません。

    私もいただいたシンビジウムですが、緑がかった白の神秘的な色の花が咲きます。
    咲くのが楽しみです。

    写真と、一言コメントのようなブログが多い中
    とても上品で練られた文章に出会えて感動しています。

  2. yuris22 より:

    青蘭 様

    ブログをお読みいただきありがとうございます。
    我が家のシンビジウムは毎日確実に蕾を膨らませながら、今にも咲きそうな勢いです。
    今年は春の訪れが早いのかもしれませんね。
    人生は後半戦であっても、花開くタイミングは毎年訪れるのだと、シンビジウムが希望をくれます。
    青蘭さんにも青春のような輝きが訪れますように。

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