ひとりごと
また日に新たなり
ハロー・グッバイ
私 「セーターが肌になじむ頃になると、小さな森にドングリを拾いに行きます。落ち葉をかさこそ分けながら、手のひらをコーヒー色の木の実で満たすと、宝物を抱えた子供に戻ります。
あの頃は限りなく深く広く見えた森も、膨らむ街に削られてどこか寂しげ...
ビニール傘とエルメスのバッグ
夏の終りと共に、雨の降る日が増えてきた。関東に台風が近づいている今日も、ドアを開ければ大粒の雨。風も強まってきたのでどの傘を差そうかと、傘立てを見てしばし考える。
不思議なのはいつの間にか増えているビニール傘。
傘立てに7本、車のト...
おばさんとファッション誌
大人になった桃太郎
人生はサンライズ・サンセット
なんだか眠れないままに夜を明かした。
窓の外が白み、目に痛いような太陽が昇ってくる。
朝に気づいたセミが、静寂を突き破って一番目の鳴き声をあげる。
東京で暮らしていた頃と比べると、空を眺める機会が圧倒的に多くなった...
友人の訃報を受けて
「もしもし? あのね、Kさん亡くなったのよ」
先ほど友人から届いた訃報に、返す言葉が見つからなかった。
「やっぱり」と答えるのか「えっ」と驚くのか、予感が現実になったことへ即座な対応ができなかったのだ。
恵比寿に住んでいた頃、週に3回...