世界の危機を見る

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危機管理を真っ当に行うための出発点は、現状の正確な把握である。
目の前にぶら下がっている仕事のみならず、現時点で世界に何が起こっているかを知らなければ、テロ対策など行えようもない。

情報収集のため・・というのではないが、自分の意識レベルを高められればと、昨夜は月刊誌DAYS JAPANが主催する「第3回DAYS国際フォトジャーナリズム大賞」の発表を見に行った。

6000点にも及ぶ作品が世界中のフォトジャーナリストから寄せられたそうだが、選ばれた14作品の殆どは、イラクやネパール、レバノン、バングラディッシュ等々で起きている戦争、貧困、飢餓、病気、人身売買、怒り、放心といったテーマばかり。
血まみれになって泣いている子供や、傷ついて身を寄せ合う女性たちの姿は、1作品見るごとに気が重くなっていく現実である。

その中で1つだけ異色といえる作品があった。
2位を獲得した「母の旅~小児ガンの子とともに」(レネ・C・バイヤー/アメリカ)という作品である。

淡々とした表情で車椅子を押す母と、やせ細った身体で大きくVサインをする少年。過酷な闘病生活を撮りながらも、写真が語りかけてくるのは、母と息子がタグマッチを組んだ「生きることへの強い意志」である。
少年が亡くなるラストのショットには涙が出たが、後からじわじわと温かな気持ちがこみ上げてきた。

世界中の誰もが、死ぬことは100%の定めである。
しかし運命の中で「どう生きるか」は各自の尊厳に委ねられるべきだ。
全ての作品に、言葉はなくても訴えかける目に、そんなメッセージを感じ取った。

それにしても未来への希望を予感させる作品がなかったのはどうしてだろう。
戦争体験も貧困も知らない私は、申し訳なくも写真を通しての二次体験しかできないが、どこかに光の出口が見たかった気もした。

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