月曜日に友人とキエフオペラ「カルメン」を見に行った時のこと。祭日の昼間で、取っつきやすい演目だったせいか、観客にはやたらお年寄りの姿が目立つ。そして首を傾げたくなる場面に幾つも遭遇した。
まずはオーチャードホールに入った途端、着飾ったお婆さんが「オペラね」と話しかけてきた。この会場はオペラなのかと確認してるわけでなく、入ってくる人へ次々と検閲のように声をかけている。何だったのだろう。
開演時刻になり幕が上がると、隣に座っているお婆さんがブツブツと何かを話し始めた。
「この歌は○○○だわ」「あらいやだ、悪い女ねぇ」「危ない!ナイフを持ってるわ!」
友人同士で喋っているのかと思えば、隣の席は他人らしい。顔を大きなマスクで防御しているのに、実況中継の独り言は大きく、絶え間なく続く。
休憩に入り、そのお婆さんがバッグを持って席を立とうとすると、何処からかお爺さんがやって来て怒鳴った。
「待ちなさい!そのカバンはあなたのじゃないでしょう!」
騒ぎにみんなが注目する中、お婆さんはムカーッ。
「何言ってるの!これは私のよ。あなた誰?」
一悶着の後、お爺さんはアレッ?と周りを見回し、2列ほど後ろの席へと戻っていく。
大丈夫なのか、この会場。まるで電車に乗ってるように、右へ左へ揺れて寝る人。前の座席にしがみついては、手で払いのけられてる人。デジカメで堂々と舞台を撮っている人。お年寄りたちの行動を見張るのが忙しくて、肝心のオペラ鑑賞は二の次になってしまった。
昨年に「温泉での高齢者マナーの悪さ」という日記を書いたが、コンサートホールでも負けてはいない。それどころか集団心理が拍車をかけている。
惚けが入ってきた頃、いつか私にも来る道なのだろうか。将来が不安になる。閉演後に渋谷の街へと散らばっていくモンスター老人たちを見ながら、鼻ピアスの若者のほうがまだ礼儀正しいと思える出来事だった。
コメント
先日、ロンドンへ行った時のことでしたが、スゴイ色した頭で、鼻にピアスを空けたいかにも凶暴そうな若者が年配の方に席を譲っているのを見て驚きました。イギリスは、そんな国なんですね。
日本はどうかわかりませんが、年配の方のマナーの悪さは、確かに集団で集まった時などは特に目立ちますね。
とむ様
「三つ子の魂百まで」の諺の通り、幼い時に躾けられたマナーは、どんな服装を使用が、老人になろうが、ずっと身についているんでしょうね。日本の高齢者は公衆マナーが劣っているのは、彼らが子供のころは戦時中で、それどころではなかったのかも知れません。