秋の岩手旅行その3(北上市の現実)

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やわらかく晴れた土曜日。岩手旅行3日目は、北上平野を見降ろすことからスタートした。

男山の展望台に登ると市街地の遥か遠く、北に岩手山がうっすらと見える。
眼下は北上川と和賀川のダイナミックな合流点。水から発する清らかな気がここまで昇ってくるほどだ。

男山の展望台

田園風景を見下ろすなら、縄文時代の住居跡が発掘された樺山遺跡。
赤とんぼが飛び、栗の実が生る公園内には復元された竪穴住居やストーンサークルが点在し、芝生でお弁当を広げるピクニックには最適な環境だ。

樺山遺跡

足下に広がる北上台地では、ちょうど稲の刈り取りが行われている。金色の絨毯の上を赤いコンバインが移動して、よく見れば作業しているのはたったの数人。
一家総出の稲刈りなんて遠い昔のことだったかと、農業の機械化が進んだことに改めて驚かされる。

北上の田園風景1
北上の田園風景2

人影の少なさは田園だけでなく、繁華街でも同じこと。
50億円を投じて再開発が行われたという中心市街地は、どの店もシャッターを下ろし廃業状態。栄えたのはせいぜい2~3年だけというアーケード街は、たまに自転車が通り過ぎるだけのゴーストタウンとなっている。
かつてのお客たちは郊外の大型ショッピングセンターに奪われてしまったそうだ。

若い人たちはどこで何をしているのか。
アメリカンワールドというアミューズメント施設内、昨夜飲みに行った「郷土芸能居酒屋 鬼剣舞」の舞台を思い出す。ここでの楽しみは週末の晩、鬼剣舞や獅子踊りといった民俗芸能のライブが見られることだ。

鬼剣舞

昨夜登場したのは北上市の創作太鼓グループ「飛勢太鼓」。
子供たちを含む12名の男女が、大太鼓・小太鼓を振り付けと共にエネルギッシュに叩きまくる。弾ける音の激しさは床を伝わり、ジーンズの裾が揺れるほどだった。

30分のステージでも相当量の練習と鍛錬を要するだろう。遊びたい盛りのジェネレーションが郷土芸能を伝承していくことに、賞賛の拍手を送らずにはいられなかった。

飛勢太鼓1
飛勢太鼓2

それにしても店内は、金曜の夜であってもお客がチラホラ。
車で移動するしか手段のない地方都市では、飲酒運転の取締り強化が確実に飲食店のお客を激減させている。
そして少子化、高齢化、過疎化・・。
政治家が確約する「地域活性策」は矛盾に満ちていると、この目でしっかりと見た現実だった。

コメント

  1. 髪結いの亭主 より:

    「改革」?

    「世界の中の日本」の前に「日本・日本人(国籍)のための日本」を先に考えて頂きたいと感じます。

    気持ちが半分ぐらい再生しましたか?
    御自愛ください。

  2. yuris22 より:

    髪結いの亭主様

    岩手に着いた当日は俗世間にまみれたままでしたが、ピュアな自然の気に
    触れるにつれて、雑草に隠れていた道しるべを見つけたような気分です。

    短期間の旅を繰り返すのでなく、答えがでるまで居続ける旅は価値がある
    ものと知りました。

  3. 亀吉 より:

    なんかなぁ~、東京にいるだけの自分が心配になってきた。
    自分の目で見、肌で感じなきゃダメだね。

  4. yuris22 より:

    亀吉様

    農村まで足を伸ばすと、ますます人影は減ってお年寄りばかり。
    今回の郵政民営化で、ここから郵便局がなくなったら、彼らはどう
    やってお金の出し入れに行くんでしょう。

    東京都の利便性の格差には驚くばかりです。

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