もう帰れない峠の我が家

スポンサーリンク

ジリジリと太陽がてっぺんに昇った空には、真っ白な入道雲。高校野球の中継が中断されて、お昼のニュースでは渋滞した高速道路の様子が映し出されている。帰省ラッシュと共に、日本全国お盆休みのスタートだ。

夏風邪が快方に向かい体調が戻ったので、麦藁帽子をかぶってテラスに出た。水をやるだけでずっと放っておいた植木鉢が気になっていたからだ。

5月14日の日記に書いたオキナワスズメウリは、支柱にツルを巻き付けながらグングンと伸びていたのに、7月に続いた雨で生長がストップ。しおれ気味で元気がない。もうダメかなと茶色くなった葉をむしっていたら、なんと実が生っているのを発見した。スイカのミニチュア版みたいな丸い実が、恥ずかしげに揺れている。

オキナワスズメウリ1
オキナワスズメウリ2

さらにもう一つの奇跡は隣の植木鉢。5月末に撒いたミニトマトが、肥料もやらず放っておいたのに青い実をつけている。サボテンさえ枯らす私が野菜を育てたなんて、天国の祖母が見たらさぞ驚くことだろう。

ミニトマト

祖父が肺気腫で亡くなったあと、祖母は木造の一軒家を守って独りで暮らしていた。江ノ電の鎌倉高校前駅から歩いて10分。江ノ島の全景を見おろす丘の上にあったが、車がなくては買い物にはひどく不便な場所で、老人の足でスーパーまで30分かかった。

庭いじりが大好きだった祖母は、食べ物を少々我慢してでも、季節の花の植木鉢を買い物のたびに下げて帰る。その数がどんどん増えていき、足の踏み場もなくなったころ、無類の植物好きは痴呆の仕業だと分かった。なぜなら他所のお宅から拝借してきた鉢までもが混ざっていたからである。

世話をしてくれる主が老人ホームに移り、お化け屋敷のようになった家は、当然庭も荒れ放題。冬にチラホラと咲く椿だけが面影を残していたが、その後人手に渡って更地となり、今は洒落た鉄筋住宅が建っている。

夏の日盛り、植木鉢をいじっていると思い出すあの緑の家。アメリカ民謡の『峠の我が家』を歌いたくなるのは何故だろうね、おばあちゃん。

♪ 空青く 山は緑 谷間には花咲き
 幼い日 ひとり遊ぶ 懐かしのあの家
 ああ我が家 峠の我が家
 楽しい日 悲しい時 思い出のあの家 ♪

コメント

// この部分にあったコメント表示部分を削除しました
タイトルとURLをコピーしました