そこは新逗子駅前の小さな居酒屋。 お客が6人並べば満員のカウンターで、男性2人の意外な再会に立ち会った。
彼らは私の飲み仲間で、飲食業のKくんと建築業のYくん。お互い名前は知らずとも、同じ町で遊んでいれば顔は何となく知っているし、カラオケスナックで歌声だって聴いたことがある。
この日は私が2人を改めて紹介したことから、ある共通項が発覚した。どちらも同じ小学校の先輩後輩で、面と向かって話をするのは30年ぶりというのだ。
お互いの呼び名がニックネームに戻れば、ビールの酔いも手伝って昔の暴露話が始まる。
「こいつは1年生のとき登校拒否になって、俺が毎日迎えに行ったんだ」。
漁師や小売店、サラリーマン等々いろんな家庭の子がいる公立小学校だけど、狭い町では親同士がみんな仲良し。「あんた、Yくんを学校に連れて行ってあげなさい」という母親の命令のもと、Kくんは毎朝辛抱強く、Yくんが玄関から出てくるのを待ったという。
それでも学校に連れて行けなかった日には、先生から叱られるのは上級生のKくん。
30年も前のエピソードに、片方は「なんで俺なんだよォ」と文句を言いながら、もう片方は「デヘヘ」と頭を掻きながら、心はランドセルの頃に戻っている。
そして暴露話はまだ続く。
後輩は先輩に絶対服従が掟。ガキ大将だったKくんが下級生を率いて、他の学校と派手なぶつかり合いをしたことも度々だった。しかし喧嘩のルールだけは筋が通っていたらしい。
「1年生は1年生同士、2年生は2年生同士。一対一のタイマンを張らしたんだ」。
みんなが寄って集って1人をボコボコにするような卑怯な真似はせず、力関係も平等に「さし」で勝負をさせたという。根暗ないじめなんて絶対に許さない正義感の持ち主だったに違いない。
時は遡り、昔のツッパリ用語が飛び交う店。
きっとこの2人、暴走族に入ったこともあれば、鑑別所に放り込まれたこともあるだろう。
それでも今は誰より腰が低い、汗にまみれて働く中年オヤジだ。 2人の目元に刻まれた笑いジワが、不器用だけどまっすぐな人生を物語っていた。
コメント
2009年1月4日に、なんと小学校の同窓会をやります。確か前回は30年前か???。
6年3組の幹事は、昔不良、今専務(らしい?)
登校時、呼びに行ったり。休みの日の給食のパンを届けに行ったり。「・・・ちゃん」の世界。
特に女の子に会うのが楽しみ・。・・うーーわァヲ!
そう同窓会は「人類唯一、実現したタイムマシーンだ」。
素浪人様
同窓会ですか!いいなあ。
私はずっと女子校だったので、男女共学にはかなりの憧れがあります。しかも30年ぶりともなれば、そこいらの合コンに敵わないサプライズパーティーでしょう。
みんなが昔の年齢に戻れる数時間を、私も羨ましく思いながら微笑ませて頂きます。