私はカシミアのセーターが苦手である。それは着心地や保温性の良し悪しを言っているのではなく、すぐに毛玉ができるので管理が面倒くさいからだ。
ところが例外の1着がある。20年も前になるだろうか、某TV局のプロデューサーから中国土産として頂いた”MADE IN CHINA”のセーターだ。
ネックのラベルに”100% CASHMERE”と書いてあるのを信じれば、ここまで長持ちして、しかも何度クリーニングに出そうと毛玉が殆ど出来ないカシミアは見たことがない。
残念ながらサイズが大きすぎたので、ジーンズの上にガバッと羽織る普段着にしか愛用していないが、他のどのセーターよりも重宝している。
しかしこんな良質の製品も手に入らなくなる状況が迫っているようだ。
毒入り餃子事件から過熱化した「中国製品のボイコット」。
最も不信感を抱くのは、知らん顔を通す中国政府の対応であり、やる気のなさを感じさせる日本政府の悠長な追求だ。
答えを得られない購買層の中には「全中国製品輸入禁止!!」を謳うブログまで現れている。
ボイコットが進めば最も苦しむのは、貧困にあえぐ労働者層だろう。
3月2日のNHKスペシャル『激流中国 上海から先生がやってきた ~貧困の村で~』によれば、経済成長の陰で中国農村部はおよそ6000万人の貧困人口を抱えているという。
朝昼晩と、具のない饅頭のみを食べ続ける子供たち。
父を亡くして母は大怪我。借金に追われた家庭で、姉を進学させるため出稼ぎに出る弟。
しかし物価の上昇のせいで、賃金のアップよりも生活費支出の方が嵩む。そこに不買運動が続いて工場が閉鎖されることになれば、働く場所さえ無くなってしまうだろう。
20年も愛用してきたカシミアのセーターには、身体で感じる有毒性はない。
しかしともすれば製作段階で、有害物質を垂れ流す工場が地球の環境破壊を進めているかもしれない。
安全で良質の製品を求める購買者。貧困から抜け出したい労働者。
両者を置いてけぼりにして私腹を肥やしているのは、いったい誰なのか。
世界中でガラガラポンの必要性を感じずにはいられない。
コメント
>ボイコットが進めば最も苦しむのは
自国民も大変ですよ。
中国からの輸入は想像を絶する量です。
日本への輸出拒否を表明していますが、
様々な食材が手に入らなくなります。
このままでは5月から、国産品の便乗値上げで
台所が火の車になっちゃいますねぇ。
こまちゃん
今日の『福田内閣メールマガジン』から抜粋。
「物価が上がっても、皆さんの給与がそれ以上に増えれば、問題はありませ
ん。しかしながら、働いている皆さんの給与の平均は、ここ9年間連続で横
ばい、もしくは減少を続けており、家計の負担は重くなるばかりです。」
「企業にとっても、給与を増やすことによって消費が増えれば、経済全体が
拡大し、より大きな利益を上げることにもつながります。企業と家計は車の
両輪。こうした給与引き上げの必要性は、経済界も同じように考えておられ
るはずです。政府も、経済界のトップに要請しています。」
要請したからって、はいそうですかと事は進むのかな。
まるで文章に書いた餅ですね。
福田首相の生コメントと前後の文脈を確認していないので、無責任なコメントになるかもしれませんが、財界は福田政権にがっかりしているでしょうね。「賃上げできたら苦労はしないよ、今それどころじゃないでしょう」と。
僕は中国製品のすべてが悪いとはもちろん思っていませんが、中国(というかイコール中国政府)との関係は「かけひき」なしにはありえません。
彼らはひーっぱって、ひーっぱって、こちらから譲歩を引き出すだけです。恐らく最後は自国民の貧窮まで持ち出して・・・「こうなっているのは日本のせいだぞ」と言ってくるのです。でも共産主義の理想からいえば、大幅な経済成長の続く中国で貧窮があるのは、明らかに「中国政府が悪い」のですよ。その失政まで日本悪玉論にすり替え得るのが中国政府ののやり方、「政治的かけひき」ですから・・・。
政府に限らず、一般の人も中華思想で「中国が世界で一番」と疑わず、歴史的にも「自分と家族しか信じられない、他人やましてや悪玉日本がどうなろうと知っったこっちゃない。日本人に毒が・・・昔のバチが当たったのだろう」くらいの認識ではないでしょうか。
日本人の助け合いの精神とか、侘び、寂びとかは中国には通用しないでしょう。(日本は黄砂対策のために植林まで手伝ってあげているのに、彼らは黄砂は中国じゃないと言い張るだけで、日本のために何をやってくれました?)どっちがいい悪いでなく、文化が違い、考え方が違う、そして中国政府は心から日本を理解しようとはしていない。日本政府に必要なのは、相手の文化を理解した上でわれわれの主張を毅然と通すこと、と僕は考えます。
たけぞう様
日本が幾ら戦争謝罪を繰り返しても、中国が納得することはない。
深い河の上に架った橋は、いつでも取り外し可能な仮設橋です。
末端の国民まで教育による意識改革が進まない限り、何度生まれ変わっても
彼らは被害者意識に浸っているでしょう。
中国の官僚たちは、経済成長と共に自分たちの懐を潤すことが最優先なのか
もしれませんが・・。