WEB制作という職業の未来

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2009年3月期、国内上場企業の経常利益が40%を超える大幅な減益となるという。輸出関連企業の不振が目立ち、電気大手では日立製作所が7000億円、パナソニックが3500億円、東芝が2800億円、ソニーが1500億円の赤字だ。

風が吹けば桶屋が儲かるの反対で、不況風が吹くと打撃を受けるのは広告業界。
先ほどグラフィックデザイン会社の社長と雑談したところによると、不動産企業(特にマンション販売)の倒産が相次ぐことで、受けていた仕事が頓挫して売上が立たず、銀行へリスケの交渉もままならぬ状況が昨年期から続いているという。

羽振りが良さそうに見えるWEB制作業界にも黒い雲。
昨年10月以降は赤字の会社が急増し、大手企業のホームページを請け負っている会社が潰れだした。生き残りをかけた価格競争が激化する中で、年末から1月にかけて獲得した融資は運転資金へと消えていく。春には経営の危険水域を超える会社が続出するだろう。
経費の殆どが人件費というWEB制作では、新規受注が見込めないとたちまち給料が払えなくなる。しかし真っ先に広告費を削りたい企業にとっては、多少見栄えが悪かろうと、自社でホームページを作ろうとする。発注元は減る一方だ。

ちなみに私が文筆業と併行してWEB制作や講師の仕事を始めたのは、日本のインターネットの滑り出しで、モデムが「ピー、ガー」と鳴るダイヤルアップ接続の時代。HTMLのタグを書き、適当に画像を貼り付けた拙いホームページでも、そこそこ高額な報酬を得られた。
まだ技術者の少ない時だからこそ、「好きなことが仕事になる」喜びで、目の下に隈を作ってパソコンに向かっていたものだ。

ところが今やSOHOも含めWEB制作会社は乱立・受注競争激化・採算割れ・倒産の時代。
困ったことにはこんな状況下で、WEB制作の道に進むには?の講習を、未来を夢見る中学3年生に対して行う事となった。
必要技術や進学先の説明はもちろん、ホームページを作る楽しさなら幾らでも語れる。しかし就職先や給与については大風呂敷は広げられない。仮に日本が3年後に不況を脱したとしても、その頃にはソフト開発が大幅に進んで、WEB制作は特殊技術を要するもの以外、自給自足が当たり前になっているかもしれないのだ。

子供たちの夢を守り育てたい。好きな職業に進ませてあげたい。彼らの輝く瞳を前に、どこまで本音を話せばいいのか自問自答の今日である。

コメント

  1. 素浪人 より:

    子供達も、そう現実離れしていないよ。「厳しい」事は親から聞いていると思うよ。

    先生は学校の先生でないから、きっと生々しい本音の話がいいと思うな。そう、現場の話。
    そして「今どう思っているのか?」「楽しい事」「苦しい事」、また「好き」を「職業とする」と何が起こるか。「先生の歴史=事実」を語るのがいいかもね。

  2. yuris22 より:

    素浪人様

    さすが子供たちを知っていらっしゃる!そうですよね、本音が聞きたいですよね。
    好きな仕事を続けていられる私はラッキーですが、それでも挫折に突き当たる。諦めないためにはどうすれば良いかを教えてあげたいと思います。
    人生の後輩たちに会うのが楽しみになってきました。

  3. shizuku より:

    ふと、目にして吸いつけられたタイトル・・・
    読ませていただいて、感謝しています!
    文字にしてしまうと、ズシンとくるので
    避けてとおってきた想いが
    ココにあって、

    ニュースを見ても、
    どこか、遠いところで起こっているような
    気でいるわたしの心に響いきました。

    暗雲たちこめる日本にあって、
    ブレることのないご自身をお持ちの
    爽やかな文だからでしょうか・・・

    感謝申し上げます。

  4. yuris22 より:

    shizuku様

    こちらこそありがとうございます。小説より奇なりの人生を送ってきて、自分の経験を思いのままに綴っております。
    乾いた土に水の一滴を落とせる文章を書けたら・・。これからも続く私の目標です。

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