愛してるよを千回言うこと

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どんなジャンルの映画が好きですかと聞かれたら、私は間髪入れずに恋愛映画と答える。「美女と野獣」「ティファニーで朝食を」「恋愛専科」「慕情」「旅情」「恋におちて」「プリティ・ウーマン」「月の輝く夜に」「ゴースト」「ユー・ガット・メール」「メリーに首ったけ」・・、思いつくまま並べてしまったが、一晩かかってもタイトルを挙げきれないほど、子供の頃からラブロマンスに憧れ続けてきた。

ヒーロー&ヒロインが結ばれるまでの筋書きにハラハラしながら、弦を駆け上るヴァイオリンが運んでくるのは、二人が究極のキスをかわすラストシーン。 「ニュー・シネマ・パラダイス」の主人公トトに負けず劣らず、私は子供の頃から想像力過多な夢見人だった。

数え切れないほど見た恋愛映画の中で最近のお奨めを言うなら、2007年「イタリア的、恋愛マニュアル」。オムニバス映画の最初に登場する主人公は、カッコつけたがりな若い男だ。親も仕事も家も車もなく、つきあってきた恋人は「元カレ」に取られてしまう過去の持ち主。今回こそと一目ぼれした女性へ不器用なアプローチの末、クリスマスの夜にプロポーズを決行する。
「結婚してくれ!」
そこに彼女の返事とモノローグが入る。
「えっ、なあに?」(嬉しい!千回でも聞きたいわ)
「結婚してくれ!」
「聞こえなかったわ」( 聞こえたけど、まだ聞きたい)
「結婚してくれ!」
「えっ?」(もっともっと)
数十秒後にはフィアンセとなる確信犯が、熱いキスをもらおうと、一生に一度の言葉を何回も言わせるのだ。

セリフ使いの巧みなこの映画では、3番目のオムニバスもお気に入り。
9年間暮らした伴侶に突然逃げられてしまった小児科医が、忙しさにかまけて家庭を振り返らなかったことを後悔しながら、深夜に妻の留守番電話に声を残す。
「愛してる、愛してる、愛してる・・・・」
戻って欲しい願をかけて千回の「愛してる」を言おうとしたら「なんだ、この変態!」。彼女の電話番号は既に変わっていて、見ず知らずのオヤジに怒鳴られる結末だった。

哀しくて呆れて笑う。でも本能の赴くままのイタリア男は、女心を引きずり込む真摯な熱愛に長けている。そんなエッチな才能を持つY染色体が退化し、500万年後には男がいなくなるという科学者の予測には、大好きな恋愛映画の行末も絡んでくる。
願わくば生きていられるうちに、とろける言葉を滝のように浴びせて貰いたいものだ。
どんなに強い女でも少女に戻してしまうのは、心から「愛してるよ」の言葉とキスに他ならないのだから。ねっ、ダーリン。

コメント

  1. 風小僧 より:

    yurisさん、恋愛のことは全くコメントできない私です。でも好きな人にはただ「好きです」と言うと思います。
    やっぱりコメント無理でした。
    ごめんなさい。

  2. yuris22 より:

    風小僧様

    素敵だと思います。好きな人に「好きです」とまっすぐ言えること。
    良くないのは「わかってるだろう?」みたいに曖昧な態度。わかっていても言葉にしてほしいのが女心ですから(^^)

  3. ヨーコ より:

    私もラブロマンス系の映画が大好きです。一番リラックスしてみられます。恋愛のドキドキは一番元気をもらえる気がします。先日もテレビでデニーロとユマサーマンの「恋に落ちて」を見てドキドキしてました。春ですねぇ。

  4. yuris22 より:

    ヨーコ様

    「恋におちて」で印象に残っているのは、デニーロとのデートのために、ヒロイン(メリル・ストリープでしたよね?)が取っかえ引っかえ服を選ぶシーンです。ハッと我にかえり「何やってんだろう、私」。女だったら誰しも同じような経験があるはず。
    「きれいだよ」の褒め言葉こそ、男性には是非ともお願いしたいものです。

  5. marie より:

    恋愛映画は数年前までは大好きでした。
    今では、物によりますね。
    昔の恋愛映画は好きですが、今では、感動したり笑える映画の方を好むようになりましたね。
    20代の頃とはやはり価値観とか物の見方も変わると思うし・・・。それと、恋をする気持ちを忘れたのかもしれません。まぁ、結婚した今では恋をする必要もない(?)し、なにせ、子供の事、学校行事、PTA等・・・あって気持ちに余裕がない。
    イケ面見ても一瞬のトキメキで終わってしまう。
    いくつになっても恋するような気持ちでいたいのですが(笑)むしろ、ファッションや美容関係に興味が向いてます。

  6. yuris22 より:

    marie様

    イケメンは映画の中では目の保養になりますが、生身の人間はあまり興味ないですね。むしろ少々破壊(?)されてたほうが見ていて飽きません。知性であったり感性であったり、中身に恋するようになりました。

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