小さな漁港の小さなお祭り

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梅雨を忘れてさらりと晴れた日曜日、朝から笛と太鼓のお囃子が漁港の町を練り歩く。昨日は逗子市小坪の氏神様である須賀神社天王祭の本祭りだった。メイン会場は小坪魚市場の前にある天王浜。ピークは夕方6時ごろなので、子猫の与六を寝かせてからのんびりと繰り出した。

小さな縁日が立った会場の前には、町内の山車が集結。この日のために放課後練習を続けてきた子供たちが、お囃子のリズムを競い合う。わが子の晴れ舞台をママたちが見守り、法被姿のお父さんたちはお神輿の周りで今か今かと担ぐ時を待っている。

山車1
縁日

1人で歩いていると「おうっ、飲んでいってよ」とテントやお店からお声がかかり、プラコップに日本酒をなみなみ、焼酎をなみなみ。既に出来上がっている知人たちの顔を伺いつつ、早めの夕食をしておいて良かったと胸をなで下ろす。

待機中の神輿
子供神輿

やがて大人たちに囲まれて子供神輿が繰り出した。日が暮れてからがクライマックス。荒くれ男たちが神輿を担いでジャンプする、湘南独特のエキサイティングな担ぎ方が見られるのだ。BGMは誰彼ともなくメガホンで謳う天王歌。お年寄りから子供たちへと受け継がれていく口承の甚句だ。

神輿1
神輿2

視線を感じてふと後ろを見ると、闇に輝く金色のタンクトップを発見。昨日のブログにも書いたコミックバーのケメ子が「うわ~、ゆり子先生~」と抱きついてきた。「ここに来れば会えるんじゃないかと思ったのよ」と手を取り合い、小躍りジャンプをしてくれる。

再開を喜んだのは束の間で、今度は網元のお嬢様だったおばあちゃんが「さあ、行くよ~」と私の手を引っ張っていく。上機嫌のジモティたちに愛嬌を振りまきながら、腰を落ち着けたのは彼女が子供の頃から慣れ親しんだ漁師小屋。

みんな帰り支度をしているのに、おばあちゃんが天王歌を歌い出せば、幼なじみのおじいちゃんが引き継いで歌い出す。車で迎えにきた孫たちが後ろでせっついても、「いや、歩いて帰る!」と、覚えている限りの天王歌を披露する。最後にはエンヤーラエンヤラヤ、座敷歌の「木遣りくづし」で大合唱だった。

綿菓子をねだる幼子たちが、太陽と潮で皺くちゃの老人たちが、年に一回待ち望んでいる夏祭り。♪村の鎮守の神様の きょうはめでたい御祭日 ドンドンヒャララ ドンヒャララ♪
みんなと別れた帰り道、もう記憶の中にしかない故郷のお祭りが歌になって戻ってきた。

コメント

  1. まつごろう より:

    初めまして
    ブログに投稿させてもらいます。
    小坪は私の故郷であり、高3まで住んでいました。
    再来年には還暦を迎える年です。
    今回、小坪の祭りをブログに載せたかったので検索して
    いましたら、このブログに会いました。
    私は文章の方はダメなので、貴方のブログがとても
    いい勉強になりました。
    よかったら私のブログ(matsugorowの日記)も一瞥して下さい。
    文章はダメですが、写真には自信があります。
    富岡単身赴任3年目の松本でした。
    これからも宜しくお願いします。

  2. yuris22 より:

    まつごろう様

    いらっしゃいませ(^^)
    小坪のお祭りに関しては初心者ですが、日記を見つけて下さってありがとうございます。
    「matsugorowの日記」を検索して見つけました。携帯サイトしか見当たらなかったのですが、PCサイトがあったら教えて下さいね。大きなサイズの写真をぜひぜひ拝見したいです。

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