海の中を走るカーナビ

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先日、知人の車で家まで送ってもらった時のこと。助手席でカーナビの画面を見ていたら、首都高速が消えて海の中を走っている。
「古いカーナビだからね」
彼が使っているのはアクアラインが出来る前のカーナビ。少なくとも1997年以前のルートが表示されている。急速に様変わりする東京を走るには、さぞかし役に立たないでしょうと笑ったら、道は殆ど頭の中に入っているからと自信たっぷりに答えてくれた。

それにしても不思議だ。13年前だったら、私がいるのは確実に海の底。道路だけでなく、六本木防衛庁跡地は東京ミッドタウンに、JRの貨物駅跡は汐留の高層ビル群に、神田市場は秋葉原クロスフィールドに、コンクリートの塊が空に伸びた街には昔の面影がない。

「わしが東京へ来たころ、戦争が終わってここには小さいバラックが並んでいたんじゃ」
小学生の時に、祖父に連れられて歩行者天国の銀座へ行った。しかし祖父はデパートへ入るわけでもなく、「当時はここに○○があった」の昔話ばかり私に聞かせる。早くおもちゃを買ってもらいたい子どもにとっては、退屈極まりないガイドさんであった。

しかし私もこの歳になると祖父の気持ちがよくわかる。テラスから見下ろしていた緑の原っぱは、造成工事のユンボが掘り返して、同じ形の建売住宅が並んでいく。遠くを眺めて目を休めていた緑の稜線には、クレーンが大型マンションの階層を積み上げていく。自然破壊は進み、時間の流れは速すぎて、やがてその場所に何があったかさえも忘れてしまう時がくるだろう。

造成工事
マンション建築

いつだったかNHK東京児童合唱団のために書き下ろした『ぼくの子どもが生まれたときに』という歌。文明の進化は悪いことではないけれど、残っていて欲しい風景もあることを書いた。それこそ未来の子どもたちに受け継いでいける本物の贅沢ではないかと思っている。

コメント

  1. muha より:

    こんばんは。こどものうたをつたって以前の自署のコメントをみてすごいこと書けたなぁって驚いてしまいます。近所も旧財閥系のタワー建設のクレーンも揚がってしまいました。完成予想図みてガッカリ。臨海部のと一緒。塩害防止のない分、コストダウンですね。NYのハレムも再開発で低所得層が事実上排斥されてしまいました。中国も土地収用で追われる方もあります。でもそれ以前に財政破綻でも化けて出てくるゾンビ体制にいつ破産決定が下され国際法に準拠出来なくなる虞が非常に気掛かりです。資金ばかり突っついていると世界からシッペ返しをくらうことも忘れないで貰いたぁい!租界になる前に疎開

  2. marie より:

    左側の住宅の景色。
    私の親戚の住んでいる横浜の景色とよく似ています。

  3. yuris22 より:

    muha様

    どんどん建つ高層ビルは、みんな同じに見えますね。街に個性と温かみが無くなりました。映画『オールウェイズ 三丁目の夕日』の時代の方が、人間にも個性があったような気がします。

  4. yuris22 より:

    marie様

    この造成地からもっと上っていくと、住民たちがハゲ山と呼ぶ野原があります。8千坪近くある広大な県有地なのですが、財政難の折り、売却されそうで心配です。壊した自然は二度と戻ってきませんからね。開発とは破壊に等しい言葉だと思っています。

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