ひねくれ続けているうちに

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ダイエット宣言をしてから、朝の食事はバナナ1本とヨーグルト、ミルクたっぷりのコーヒーを続けている。バナナは身体や脳を動かすエネルギーになるだけでなく、思いのほか腹持ちが良いからだ。

ある日スーパーでバナナを物色している私に、友人が口を出した。
「ダメだよ、もっと黒い斑点が出てるのを買わなくちゃ。そんな硬そうなのは甘くないよ」
ますます意固地になって、最も若そうなのを選ぶ私。忌々しげに呆れる友人。

一般的にどれが美味しいかは見分けがつく。某バナナのWEBサイト制作に携わっていたこともあり、食べ頃のスイートスポットはもちろん、栽培法、健康作用、レシピまで頭に叩き込まれている。しかし私個人としては、未熟な硬いバナナが好きなのだ。

バナナ

バナナに限らず、万人受けする「甘くて美味しい」や「かぐわしい」には、子供の頃から手を伸ばさなかった。みかんは青くて酸っぱそうなのを選び、イチゴは早く摘みすぎた白っぽい粒を選んだ。「変な子ね」と、親が顔をしかめるほど「してやったり」と得意になる。

変わり食いは他の食物にも及び、サラダにはドレッシングをかけず、冷奴には醤油をかけず、素のままで食べることが18歳ぐらいまで続いた。素材の本質を私だけが知っているという優越感に浸りながら、たぶんある種の反抗期だったのだと思う。大学に入って社会と接するようになると、周りに習えの食べ方になったが、果物に関してだけは子供時代の嗜好を引きずっている。反体制の最後の砦だ。

常識という感性から外れた「変な子」は、表向きな社会ルールは守りながらも、文章を書く時、とりわけ詞を作る時には私の主導権を握る。ひねくれ続けたことが今の職業に結びついたのを実感しながら、独り言。
「青いバナナを愛した者じゃなきゃ、書けない言葉があるんです」
みずみずしい感性でいるために、心だけは子供のままでいたいと思う天邪鬼である。

コメント

  1. 反体制の最後の砦(笑)
    でも、他人や社会に流されず、自分流の拘りが無ければ、今の仕事をする事は無かったかも知れないですね。
    私も同感です。

  2. マービン より:

    反体制の最後の砦
     うん、やっぱりここのところに目がいった。湘南ミヤウチ氏とおなじところに引っかかった。忘れているものをおもいだした。自分のなかにも、流れ続けているのかもしれない。フレーズの力というか、重みってすごいですね。文章全体のながれといいましょうか、構成をいつも学習させていただいていますが、この「反体制の最後の砦」は強い意志がこめられた核のように重く響きました。
     うーん、マービンが書くと「黒ブラと反体制最後の砦」となりそうなんですよ。かさぶらんか様、いつの日にか、そういうタイトルでエッセイなどかけたらと思うきょうこのごろです。
     ご自愛の程を。

  3. yuris22 より:

    湘南ミヤウチ様

    取るに足らないこだわりだって分っているんです。子供じみてると言われて妥当な。
    それでも子供たちに混じって、最後まで「夢」のバリケードを築いていていたい私です。

  4. yuris22 より:

    マービン様

    私はマービン様の「黒ブラ」に目が行きました。それって肯定なの?否定なの?
    ちなみに私は着る服によってブラを使い分けておりますが、黒ブラは大人の女として気に入っております。ただしサイズは気に入っておりませんけどね。

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