NHKの連続テレビ小説「カーネーション」が面白くて、初回から一度も欠かさずに見ている。主人公は実在の人物で、ファッションデザイナーのコシノ姉妹の母親、小篠綾子さん(ドラマでは小原糸子)だ。岸和田の呉服商の娘がミシンに夢中になり、洋裁の腕を上げていく様子が楽しみで、その将来を応援せずにはいられない。
服を縫い始めると寝食も忘れて没頭する凝り性は、私も若かりし頃に経験がある。前回のブログに書いたように服が大好きだったので、買うだけでは満足できず、高校時代から自分で作ることを始めた。
最初は編み物から取りかかり、作品はマフラーや手袋に始まってセーターへと進化。お小遣いは殆ど毛糸代に消え、編み始めたら夜が明けるまで宿題もそっちのけで頑張ったものである。少しずつということが苦手な性分なので、カウチンセーターのような大作でも3日間で編み上げた記憶がある。ボーイフレンドへのプレゼントはもっぱらセーターで、バッグの中にはいつもメジャーを忍ばせていたものだ。
そして編み物の次は洋裁へ。大学へ通う傍ら、夜間はドレメ式の洋裁を習うためにカルチャーセンターへ通い、これまたお小遣いはソーイング雑誌と生地代に消えた。初心者の私にも縫えそうなデザインを見つけたら、すぐに型紙を作って生地をカッティング。徹夜でミシンを踏んで、完成したワンピースを着て大学へ行き、授業中は居眠りして過ごした。
いっそ大学をやめて職人になろうかと思うほど熱中した編み物と洋裁であったが、どうして飽きてしまったのか理由は思い出せない。たぶんどんなに努力しても市売品には敵わず、才能に見切りをつけたのだと思う。その後は凝り性の対象が作詞へと向き、職業となって今も続いているが、毛糸や生地を前にして「さあ、やるぞ!」と目を輝かせた若い情熱は消えてしまった。締め切りという義務が手かせ足かせとなってしまったからだろう。
そして現在、趣味として夢中になれるもの、何時間でも飽きずに続けられるものはあるだろうか。ソファーで寄り添う与六の頭と喉は幾らでも撫でていられるのだけど、猫を眠らせる特技なんて生産性がなく、ものぐさ度が増すだけである。
「あなたの趣味は何ですか?」と聞かれて即座に答えられるものを、平凡でもいいから探さなくちゃ。心の栄養不足を感じているこの頃である。
コメント
この連ドラは見ててワクワクしますね! 主人公の直向きさと努力に心を打たれます。時代も良かったなぁ。
「趣味」と「生産性」・・・
「やりたい事」「できる事」「やらねばならない事」が一致できれば素晴らしいですね。
がんばりましょう! 日本語文章のの職人さん!
的は逗子の素浪人様
いちばんの趣味。お酒を飲むことが仕事だったら良いんだけど・・、なんてウソウソ。達成感のあと勝利の美酒を飲めるよう、もうひと頑張りしてみましょうかね。