忍び寄る孤独病から脱するために

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無縁社会を浮き彫りにしたような最近のニュース。さいたま市のアパートで餓死した親子3人の遺体が見つかったり、立川市のマンションで母親が病死したあと幼い息子が衰弱死ししているのが見つかったりと、死後1~2か月たってからの発見である。誰も気付かない、ドア1枚隔てた不幸。今や「向う三軒両隣」なんて言葉は死語になったのだろうか。

孤独死に至る前には、孤独病の兆候がある。貧困、病気、家庭環境、性格など何がしかの要因が蜘蛛の巣のようにはびこり、他人とのあいだに隔たりをつくる孤独病にさせるのだ。孤独病はうつ病とは異なって、社会が生み出した心の生活習慣病と言えるかもしれない。

先日、こんな能天気な私でも我が身を省みる出来事があった。ウォーキングに出かけ、下の階の住人とバッタリ出会った時のこと。目を丸くしての開口一番は、「あら、いらしたんですか!」。人が住んでいるのかどうか分からないほど、私の部屋からは物音がしないというのである。

孤独に慣れ過ぎたひとり暮らし。5年前に引っ越して来た頃はお客様をたびたび招き、テラスで騒がしくBBQをしてご近所に迷惑をかけたこともあったが、今では猫が突発的に運動会をする程度だ。プライバシーの保護にお金をかけたこのマンションは、壁と床にかなりの厚みがあるので生活音が周りに響くことはなく、しかも仕事場である書斎はメゾネットの上階にある。下の住民には音が聞こえようがない。

インターネットが進歩したおかげで東京に出向く必要が減り、一日の大半はパソコンの前。食料品はおうちコープによる宅配。生活と仕事に必要な物資は楽天やアマゾンで購入。買い物に行かなくなった代わりに送料というコストが増えたが、それは宅配便のお兄さんたちによる安否確認代みたいなものだ。

近ごろは飲みに行くのさえ面倒になって孤独病まっしぐら?いつのまに忍び寄ってたの?
これは危険域に達したと思い、浮いた飲み代でお出かけ用の服を買った。水墨画みたいな百合をモチーフにしたプリントのジャケット。私のワードローブにはない派手さだが、時には人目を惹くことも孤独病の治療になる。女のコミュニケーションツールである口紅も可愛いピンクのを選ぼう。

外に出なきゃ。「放っておくと大変なことになりますよ」の前に、今夜は友人の携帯に赤ワインの絵文字メールを送った。

コメント

  1. 的は逗子の素浪人 より:

    あれ~~~?、拙者には日本酒のメールがきたぞ~~!

  2. yuris22 より:

    的は逗子の素浪人様

    日本酒は酔っぱらっちゃうから滅多に飲まないんですよ。でもそれをお誘いするってことは??

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