前の頭が邪魔して見えません

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私は行き当たりばったりで映画を見ることができない。あらかじめインターネットで予約できる映画館に限定し、他人に邪魔されない座席を選ぶことに固執するのは、子どもの頃のトラウマにさかのぼる。

祖母にディズニー映画を観に連れて行ってもらうのが何より楽しみだった時に、運悪くも前席に座った大人の頭でスクリーンがカットされてしまった。それがオデオン座という星座の名前の映画館だったのは覚えているし、シュワシュワしたコーラの喉越しやポップコーンの匂いは今でも五感に焼き付いている。しかし肝心の映画に関しては、前列に座った大人の頭に集中力が注がれてしまったため、映像もストーリーもほとんど記憶に残っていない。

そんな悔しい思いが高じると、映画に関わらずどのホールでも前に頭のない席を選ぶのが習慣となってしまったし、コンサートで最初の曲から前の観客が立ち上がって壁を作るなんて言語道断だと思っている。この神経質さを自己分析するに、私はわがままで孤高を好むドA型人間なのだろう。

そして今夜の出来事。日付が変わった頃に原稿書きを終えて、遅い夕食のお供にテレビをの電源を入れた。動物好きの私としては、日曜日の『ダーウィンが来た』という番組が楽しみで、NHKオンデマンドから過去の放映番組をゆっくりと見ることにしている。映し出されたのは越後平野の小さな溜池で、水辺に生えるヨシの葉に潜んで忍者みたいな生活をする「ヨシゴイ」という名の鳥。羽ばたいて小魚を捉える姿に目を見開いていたら、テレビの画面がいきなり遮られた。

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猫の頭がピョコッと飛び出して、敏捷な手が鳥たちをバシバシと叩き落とす。このーっ、与六めーっ!テレビの前から追い払っても、猫の執念深い性格はあきらめない。結局は番組が終わるまで、トラウマとなっているデカい頭が私の前に鎮座しているのであった。

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つくづく猫は不思議な生き物だと思う。今のところ仕事が忙しくてアップできないのだが、与六が野太い手で攻撃的なボクシングを覚えたことを、次回には何としても動画で載せたいと思っている。

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