「暑さ寒さも彼岸まで」と言うが、今年は春を飛び越して初夏の陽気だ。昨日は鎌倉霊園へ祖父母のお墓参りに行ってきた。春分の日の翌日なので、お墓の花立ては満杯だろうと小さめの仏花を買って行ったところ、誰も来た気配がない。介護施設にいる父は来られなくて当然としても、元気な叔父叔母たちが自分の親に花一輪手向けに来ないとは・・と淋しくなった。
平日とあって人影が殆どない公園墓地。遥か山の際まで続く段々の墓地を見ていると、ここでは私以外の全員が眠りについているんだと不思議な気持ちになる。みんな家族が来てくれるのを待っているのかな。そんな想いは存在せずに墓標があるだけなのかな。いずれにせよ自分の番が来るまでは分からないことだ。
さあてお参り。「ごめんね、遅くなっちゃて」と謝りながら墓石を洗い、お線香を置いて手を合わせた。祖父母に向かって近況を語りかけているうちに気付いたのは、独り言が伊予弁になっていること。「あんじょうしとるけんの~(元気でいるからね)」と、3歳までしか居なかった愛媛県の方言がスラスラ口から出てくるのは、お彼岸マジックだろうか。
この丘に八重桜が満開になるころ祖母の命日がくる。次はもっと大きな花束を持ってくることを約束して、帰り道は久木ハイランドの桜並木を通った。ソメイヨシノはまだ2分咲きなのに、心が弾んで車を止めずにはいられない。スマホを掲げて写真を撮っていると、私の後ろにも次々と車が止まる。さっきまで静まり返っていた道路が携帯のシャッター音で賑やかになって、まるで映画みたいな光景。これもお彼岸マジックかなと嬉しくなって、淋しさの吹き飛んだ瞬間であった。
コメント
御無沙汰して申し訳ございません。
墓参お疲れ様でした。鎌倉霊園は車が滞る名所ですが園内は延々として
心も洗われる雰囲気もありますね。
きっと祖父母様方もさぞかし悦んでいらっしゃることでしょうね。桜も
それに応えてくれているのですね。
締切も峠越のご様子ですし再び英気
を養いパーティーへ時化込ましょ。
みなみ様
お墓の下には祖父母しか眠っていないのに、ご先祖様や亡くなった友人たちにも祈りが届くような気がします。目を閉じて手を合わせると、空の上にある大きな家で、魂たちが朗らかに暮らしている絵図が浮かんでくるんですよ。護られている自分を感じて、祈りの言葉は「ありがとうございます」の連発です。