今日の都心は34度を超える猛暑だったという。しかし海と山が近い逗子で暮らしている私はまだ冷房も扇風機も使わず、窓を開けて風を入れるだけで過ごしている。体感温度は28℃ぐらい。湿度が高いので汗をかく不快さはあっても、機械によって強制的に冷やされる肌の違和感よりは数倍も楽である。顔をジャブジャブと洗った後は、自然の油が出てくるので化粧水すら要らない。
仕事で都内に行くときは必ず長袖を着用。なぜなら横須賀線は腕を摩りたくなるほど冷房が効き過ぎているからだ。電車から降りるとクシャミと鼻水が止まらないのは寒暖差アレルギーの症状だろうか、ポケットティッシュの減り具合は冬と変わらない。生き返ったと思えるのは太陽ジリジリの自然環境下にあるときで、片手にハンカチ、片手にペットボトルを持って汗だくで歩いている方が、電車の強制的な冷房で震えているよりホッとする。
体感温度は感性から影響を受けているとの自己的考察。
例えば、昼間にモアーッとした駅のベンチで電車を待っているとき。隣のご婦人が使う扇子からお裾分けの風を受けた心地よさは何だろう。田舎のおばあちゃんを訪ねた子どもの頃、水色の蚊帳を張った寝床で、私が寝付くまで団扇で仰いでくれた涼しさと共通している。人の手を介した優しい風だ。
例えば、夏の遊園地で肝試しに入ったお化け屋敷。暗い・かび臭いといった不満はあっても、暑くて耐えられなかったと怒るだろうか。もちろん冷房は入っているだろうけど、恐怖に打ち勝つ方向に集中していれば汗腺も引き締まる。外に出て「大したことなかったじゃない~!」と勝ち誇った瞬間にドッと汗が噴き出てくるのだ。
てなわけで「心頭を滅却すれば火もまた涼し」となるか、これから本番を迎える今年の夏。
梅雨明け宣言と共に花火大会が始まり、昨日は鎌倉、今日は葉山。どちらのビーチにも近い我が家では窓ガラスが震えるほどのドカーン!という打上げ音がとどろき渡り、ビビった与六はベッドの下に逃げ込んでいる。「大丈夫よ」と引っ張り出して抱っこすれば、ガタガタと震えて悲しい声で鳴き、スルッとと私の腕を抜けるとまたベッドの下へ。これは体感温度的にかなり寒い思いをしているに違いないと、約40分で終わる花火大会の間、耳をピクピクしている与六を励まし続けた。ジェット機の爆音は平気なのに、花火は腰が抜けるほどの恐怖らしい。
さてさてフライデーナイトの明晩は、仕事関係で六本木に行かなくてはならない。コンクリートジャングルが焼け付く都心の熱気は恐ろしいが、それよりも家に心残りが・・・。ドッカーン!の音に震え上がる与六が恐怖で凍死しないよう、どうか明日は3夜連続の花火大会がありませんように。
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