音楽が売れない時代になった

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買い物といえばAmazon Primeに頼ってばかりの私だが、近ごろ殆ど買わなくなったものがある。ミュージックCDだ。

ソファーにゆっくり腰をおろして音楽を聴く習慣がなくなり、パソコンで仕事をしながら聴くのは無料のインターネットラジオ。このブログを書いている今も、AccuRadioの”Magic Summer Autume Mood”というミュージックチャンネルを聴いている。カーリー・サイモンの”You’re So Vain(うつろな愛)”が流れると、キーボードを打つ指が止まり、心は青春時代へと飛んでいく。

ネットの普及で音楽はダウンロードして手に入れるものになった。聞くところによると、音楽業界はCDが売れなくなって衰退の一途を辿っているとか。スガシカオがTwitterで「DLだと制作費全部赤字。CD買ってほしい」と呟いたのは、衝撃として広まった。iTunesの売り上げまで落ち込んだ要因は、タダで音楽が手に入るYoutubeやインターネットラジオが原因なのだろう。

さらには若者が車を買わなくなったことも、音楽不況を加速している。電車で移動中に音楽を聴くのはスマホとイヤホン。マイカーでドライブしながら、誰かと一緒に聴くシーンが無くなったのだ。私もMINIに乗っていたころは、Amazonで新曲CDを取り寄せてはCDチェンジャーに積み込んでいたものだが、車を手放してからは無縁になった。

好きなミュージシャンのライブチケットなら並んで手に入れるけれど、音源はお金を出して買わない。もしかしてそれは、アナログ音とデジタル音との差に問題があるのかもしれない。オーディオに凝って「イイ音」を追求しても、デジタル・ミュージックには心を打つ深みがないと思うのだ。

phono
我が家のリビングルームには、実家から持ってきた蓄音器が置いてある。盤を回すためのハンドルは無くなってしまったが、朝顔型のラッパの存在感は大きい。

乗っかっているレコードはずっしり重たく、一曲だけが入っている。読み取れたのは、小畑実「函館のランタン娘」(キングレコード)。手で回しながら針を落とすと、ウィーンウィーンと歪んだ弦楽器の音が、祖父の生きていた昭和を連れてくる。

きっと一家揃って、もしかしたら座布団に正座して、みんなで蓄音器の音に耳を傾けたんだろうな。遠い遠い、音楽が貴重品だった時代にタイムスリップしたくなった。

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