あれ これ それ

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1人で飲みに行くなら、カウンターだけの小さな店が好きだ。
店主を中心に、常連客が同じ話題で盛りあがる「飲みニケーション」が楽しい。

昨夜は、目黒駅近くにあるモツ焼き屋の「秀よし」にお邪魔した。
小さな飲食店が軒を連ねるサンフェリスタというビルの地下にあって、お客は10人も入ればいっぱい。
ぎちぎちに詰めあって座り、奥の席のお客がトイレに行きたいと言えば、みんなゾロゾロと外に出て待つ。

店主は「あんちゃん」とか「おにいちゃん」と呼ばれていて、うっかり「マスター」なんて呼んだ分には口も聞いてくれない頑固おやじだ。

お世辞にも綺麗とはいえない店だけれど、上質な備長炭で焼いたレバーやタン、シロ、ナンコツ、コブクロ等々(余ったら全部捨てちゃうので、いつも新鮮)、1本100円というリーズナブルさもあって、常に満員状態だ。
目黒という場所がら、パイオニアやホリプロの社員たちもよくやってくる。

昨夜の面白い会話。
常連客 「タレを味噌で焼いて」
おにいちゃん 「ほい!」

すぐにコブクロの串を取って焼き出したのを見た誰かが、「『タレを味噌で焼いて』で、どうしてコブクロなんだ?」と質問した。店内は爆笑のうず。

いつも頼むものが決まっているので阿吽の呼吸なんだろうが、それをきっかけに盛り上がった話題は、歳を取ると言葉が思い出せなくなり、話に「あれ」「これ」「それ」が多くなるということ。
長年連れ添った夫婦など、夫が「今夜はあれが食いたいな」と言えば、妻は黙って「鯖の味噌煮」を用意する・・ってな具合だ。

そこで早速ホリプロの上司、「そろそろ、あれが来る頃だから試してみるか」。
あとからやってきた部下に質問した。

上司 「おい、あれはどうなった?」
部下 「あれですか?そのようにしておきました。」
場の雰囲気をすぐに感じ取っての阿吽の呼吸だ。

「あれ」「これ」「それ」が通じる場所と仲間は、家族の居心地である。

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