もうひとつの選挙

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選挙が近づくと、ポストを開けるたび嫌な思いをする。

逢ったことも見たこともない候補者から届く葉書や封書。マスの民衆を相手にする国政選挙や地方選挙なら致し方ないだろうが、もっと対象域の狭い選挙では「果報は寝て待て」か「タナボタ狙い」みたいな図々しさを感じる。

例えば10月に投票が行われるT商工会議所の議員選挙。
8万人の会員から選挙によって76人の議員を選ぶというものだが、投票の方法には本人投票と代理投票の2つがある。
投票できる票数(選挙権個数)は、会費の負担口数によって異なり、選挙権個数分の入場券が8月に送られてくる。
要は資本金額が多い企業ほど口数が多く、沢山の入場券を貰えるってことだ。

とある立候補予定者から封書が届いた。
T商工会議所では女性のドンとも言えるお偉方であるが、私は全く面識がない。
濃厚なメークに、ラグジュアリーな宝石を身に着けた写真が微笑んでおられる。

印刷された手紙には、ご自身のアピールが綴られ、追伸として「お願い」が添えられていた。
投票のためにご足労願うのは恐縮なので、「代理投票承諾書」に会場入場券の枚数を書き、署名捺印して送って欲しいと言うのである。

立候補の届出は7月末からなのに、選挙制度に反してないのだろうか?
選挙管理委員会に問い合わせてみた。

「商工会議所の選挙は、もちろん公的な部分もあるのですが、告知前であっても各立候補者と企業の間で取りまとめた約束で決まる部分もあるのです。事前活動をして、委任状を多く集めた者勝ちなんですよ。」

なるほどね、出来レースってこと??
大企業でもないんだから、ゴミ程度の票数を持って投票になんか来ないで、委任状をよこしなさいってことか。
そんなことも知らない私は、経営者としてはまだまだヒヨッコだし、金と権力の馴れ合いに「作り笑顔」を向けることも出来ない。大人にならなくちゃ・・・だ。

「8万会員の代表を選ぶ大切な選挙」のキャッチフレーズが空しく思えた。

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