紀元杉に続いて、今日は弥生杉に逢いに行くルート。標高800mの苔むした森、白谷雲水峡(屋久島自然休養林)へ向かう。
ここでは体力と暇に応じてコースを選ぶ。
「もののけ姫の森」へ行くなら5時間かかる「太鼓岩往復コース」を選ぶのだが、今回は1時間の「弥生杉コース」を歩くことにした。
管理棟の入り口から始まるのは歓喜の連続。
ダンサーのように身体をくねらせた屋久杉たちや、岩を覆う柔らかな苔、足元でサヤサヤ揺れるシダなどが、緑の王国を形成しているのだ。
ゴツゴツした岩の間を清流が走る。
「飛流おとし」「苔河原」を見ながら橋を渡れば「二代杉」(切り株の上に、世代交代した新たな杉が生えている)や「気根杉」(土中に養分が少ないので、根が空中に伸びている)など、生活の知恵を身につけた杉ファミリーが出迎えてくれる。
「顔がいっぱいあるよ!」
仲間の声に下を見れば、岩か切り株かを苔が覆ったのだろう、人形の集団みたいな物体?を発見した。にんまり微笑む女の子、ダンクシュートをしている男の子、しかめっ面のお爺さん・・、見る方向によっていろんな顔が現れる。
笑い声をあげる私たちの横を、屋久鹿たちが不思議そうに通り過ぎていく。
そして目の前に突然現れたのは、樹齢3,000年の「弥生杉」。
この樹も着生植物と一緒に生きているけれど、太い幹を流れる「水の気」を確かに感じる。
大地と宇宙をつなぐ直線ラインは、遠く遠く水星まで届いているように思えた。
良かった、この森は生きている。
分け入ってくる人間たちを面白げに観察しながら、無言のささやきを交わしている。
新参者ながら、両手を掲げてご挨拶。
次回来たときは「もののけ姫の森」へ、許される限りの時間を使って贅沢に歩くことを誓った。
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