12月も半ばとなれば、卒業を控えた大学生たちにとっての関門、卒業論文提出の期限がやってくる。
学生時代を振り返ると、私は卒業論文を2つ書いた思い出がある。1つは某女子大学の人間関係学科での卒論。ノンバーバル・コミュニケーションの一環として、服装が他人に与える性格的印象をテーマにした。調査のために、手持ちの服を取っかえ引っかえ着替えて写真を撮り、幾つかの大学で学生たちにスライドを見せて、アンケート結果から考察を行った。独りよがりで参考文献の数も乏しく、論文の体を成していなかったのに、よく教授が通してくれたものである。
そしてもう1つの卒論は経済学科。当時付き合っていたボーイフレンドの代筆であった。マルクスさえ知らなかった私が書いたのは、彼が「これを読んで書け」とドーンと積んだ書物から抜粋して繋ぎ合わせた論文。書き写しを見破られてはいけないと、文書を細かく分解して並べ替え、体裁としては大学に提出するのが惜しいほどの出来栄えであった。ところが論文は通っても、彼は出席日数が足りずに留年。骨折り損のくたびれ儲けである。
あれからウン十年。人間関係学も経済学も現在の職業には繋がっていないが、試行錯誤の時間は有益だったし懐かしい。そこには真夏に汗を拭き拭き走り回るような努力があったからだ。
12月11日 RBB TODAYの記事。主に教育機関・ビジネス向けとして、ネット上からの不正コピペを見破るソフトが出来たという。ソフト開発会社のアンクが発表したコピペ判定支援ソフト「コピペルナー」。考案者は金沢工業大学の教授で、レポートや論文などの電子文書が他所から不正なコピー&ペーストを行っていないかを解析するソフトだそうだ。発売が12月下旬とあらば、もしもコピペを多用して卒論を提出してしまった大学生にとっては、戦々恐々の製品だろう。
昔は文献からの丸写しであっても、指にペンだこを作って書き写すうちに内容が頭に入った。日本の論文審査では、どれだけレベルの高い参考文献を数多く読んだかを考慮し、注釈に置かれた引用数が多いほど優れていると見なす傾向があるそうだが、それがキーボードのctrl+C、ctrl+Vで瞬時に完了するのはどうなの? コピペが過ぎればパクリになる。
ソフトの考案者いわく、「このソフトを教育機関が用いることで『どうせコピペしてもばれてしまうから、自分で考えてレポートを書こう』と思ってくれたら・・」。まるで小学生に諭すような優しい発言に、学生たちのお手軽な現状を見たと思うのは私だけだろうか。
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